ブランディングの進め方~DX時代のブランディング②~
2022.01.21(金)
- Webシステム

「DX時代のブランディング」がテーマのシリーズ記事第2回目は「ブランディングの進め方」のお話です。
前回の記事では、「ブランディングとは何か?」をご紹介しました。
ビジネスの世界では、ブランディングによって生まれた「ブランド」は
ヒト・モノ・カネ・情報に続く第5の経営資源
になることをご説明しました。
さらに「DX時代に必要なブランディング」として、ブランディングによるアウトプットを
目に見える形にしてWebサイトで発信していきましょう
というお話をしました。
ブランディングには「2つの軸」がある
ブランディングには「2つの軸」があります。ブランディングを行う対象の違いにより「アウターブランディング」と「インナーブランディング」に分けられます。どちらの軸もブランディングを行う上でどちらも重要なポイントになるので、それぞれ具体的にチェックしてみましょう。
アウターブランディングとは?
市場や社会、ユーザーといった外部に対してブランドの魅力を発信することを「アウターブランディング」といいます。一般的にブランディングというと、こちらを想像する方が多いのではないでしょうか?
自社の強みや差別化された特徴をブランドとして確立し、広報、広告、事業展開、営業活動、販売促進、採用など、あらゆる面で表現していくと、企業経営に好影響を与えます。
結果、商品やサービスのファンや見込み客が増え、価格競争に巻き込まれず事業を展開できるのです。
インナーブランディングとは?
一方、社内の従業員に対して自社のブランドを普及し浸透させることを「インナーブランディング」といいます。 ブランドの持つミッションやビジョン、バリューを社員が体現できるようにすることを目指します。
自分たちのブランドに社員自ら愛着を持つことで、誇りを持って仕事ができるほか、ブランドの世界観を共有することで、商品開発、マーケティング、営業、広報といった異なる業務を担当していても、ブランドのミッションやバリューに基づいた行動を自発的に行うことができます。
ブランディングにより、社内にも社外にも統一的なメッセージを発信し、ブランドに基づく事業展開・行動ができる。ブランドメッセージと実際の事業展開や行動が一致することで市場や社会、ユーザー、お取引先などの外部からの支持を得られる。そのような好循環を起こすためにブランディングが必要なのです。
ブランディングに必要な5ステップ
会社という組織で、ブランディングを行うために必要なこととは何なのでしょうか?経営の神様とも呼ばれたパナソニックの創始者である松下幸之助さんは、「企業は人なり」という名言を残していますが、ブランディングにおいても「人」は重要なポイントになります。そこを念頭に置きながら、ブランディングを進めるために必要な5つのステップを確認していきましょう。
①1つの目的のもとに一丸となったチームを育成
さまざまな組織・立場にいる社員がひとつのブランドを築き発展させるためには、「1つの目的のもとに一丸となったチームを育成すること」がとても重要です。チーム間でお互いを認め合い信頼関係を育み、誰もが自分らしくいられる組織がブランディングの根幹になります。
②自社の持っている資源や強みを発掘
社員個人がもともと持っている資質そのものや、事業の成功のためにチームとして関わり合うことで生まれる相乗効果から、企業が持つ強みが発掘できます。まずは自分たちの今を振り返ることにより、ブランディングの方向性・戦略が形作られます。
③差別化された事業・サービスを構築
発掘された強みをベースとして、市場環境の中での立ち位置を確かめ競合他社と比較することで、差別化された事業・サービスを構築していきます。マーケティングにおける分析手法を使うことも。ブランディングで事業貢献が叶います。
④企業や事業の魅力・他とは違う点をデザインで表現
差別化された事業の構築ができたら、いよいよそれらを印象的なデザインで表現し、イメージとして「見える化」していきます。この段階で、シンボルマークやロゴタイプ、タグラインなどのCI(コーポレートアイデンティティ)がアウトプットされます。
⑤社内外に発信し、ブランドを浸透させる
アウトプットされたCIのほか、自分たちの強み・メッセージをホームページ、SNSなどのネット関連や、広告、PRツール、営業ツールなどで発信します。これらを社外に発信することは、同時に社内にもインパクトをもたらし、さらなる相乗効果が期待できます。

ブランディングに欠かせない手法とは?
前項では「ブランディングに必要な5つのステップ」をご紹介しました。では、それぞれのステップで具体的にどのような調査や方法を使って進めていくのでしょうか? 当社で行ったブランディングの事例を例にご紹介します。
- 1つの目的のもとに一丸となったチームを育成
- 自社の持っている資源や強みを発掘
- 差別化された事業・サービスを構築
上記のブランディングのステップでは以下を具体的に行いました。
「全社員アンケート」
理想の職場や、仕事上で大切にしている信条、事業やサービスについて思うこと、組織運営、業務の仕組みなどについて個々の思い・考えを抽出しました。当社はエンジニア、ディレクター、営業、事務系などとさまざま職種のメンバーがいますが、立場の異なるメンバーからさまざまな意見が寄せられました。
「ストレングスファインダー®」
⽶国GALLAP社が開発した、⼈の才能を発⾒する統計プログラム。34種類の資質の中から⾃分を特徴づけるTOP5の強みを知ることができます。全社員が受講し、自分の強みを理解したほか、受講結果をオープンにすることで、職場の仲間の強みや自分との違いを認識することができました。
「エンゲージメントワークショップ」
会社と社員の絆=エンゲージメントを高めるワークショップです。自社の強みや存在意義(パーパス)に向き合うプログラムを実施。この会社で、この仲間と一緒に働く喜びを実感し、自主的な貢献意欲を高めるとともに、企業としての強みや価値観・目指すべきビジョンを抽出しました。
これらの施策により、ブランディングに欠かせない個人と会社の強みの発掘と、ブランドのミッション、ビジョン、バリューを定義することができました。
- 企業や事業の魅力・他とは違う点をデザインで表現
- 社内外に発信し、ブランドを浸透させる
上記のブランディングのステップでは、ロゴマークやロゴタイプ、タグライン、ビジョン、バリュー、行動指針を定めました。決定にあたっては、全社員による投票を募るなど、これからブランドを運用していく社員の思いを反映させる仕組みを取り入れました。そして、ブランディングによるアウトプットを社内外に発信、浸透させるためのさまざまな取り組みを行いました。
ブランディングを成功させるためには?
ブランディングに必要な5つのステップと多彩な手法を経て、当社のブランドが目に見える形になっていきました。では、ブランディングを成功させるためには、どんなポイントがあるのでしょうか?
ブランディングを推進する社内プロジェクトを立ち上げる
ブランド作りからその後の推進を担当するメンバーは、ブランディングの成功に欠かせません。当社では、各部署からメンバーを募り「広報・マーケティングタスクフォース」という組織を発足させて、ブランディングに関わるあらゆる面を推進しました。
ブランディングの専門家に相談する
当社のブランディングのスタートアップからデザインのアウトプットまで、ブランディングの専門家にナビゲートをしてもらいました。前項のブランディングに必要な5ステップにおいて、トータルでプロデュースを依頼。当社のブランディングを全面サポートいただきました。ブランディングを手掛けるエージェンシー、デザイン会社、ラボなどが各地にあるので、信頼できる企業に依頼することをおすすめします。
ブランドを発信する
アウトプットされたブランドは、内外に向けてどんどん発信していきましょう。当社がブランディングの成果を発信するべく行った施策の一部をご紹介します。
アウター向け
- コーポレートサイトとサービスサイトのフルリニューアル
- 会社案内の刷新
- 各種広告の出稿
- SNSの発信
- ノベルティーグッズを制作し、お客様に配布
インナー向け
- ブランド啓発ポスターの制作・掲示
- ブランディング活動のレポートを社内で発信
- 社内報にてブランディングに関する特集記事を掲載

まずはブランディングの一歩を踏み出そう
ブランディングについて、対象、必要なステップや手法、成功のポイント当社の事例も交えながらご紹介してきました。これらのことからブランディングは、単なるイメージ戦略ではなく、
●社内に今ある強みを知り、それを価値として全社員のベクトルをそろえていくこと
●一つになったベクトルを元にそれぞれの業務を推進し、対外的なインパクトを与え続けていくこと
●それらの結果、自社のブランドが差別化され優位性が高まることで顧客から選ばれる企業になること
...といった、企業経営の安定化につながる重要な戦略です。
変化の激しい世の中で、成長し続ける企業になるために、今こそブランディングを始めて、その結果をホームページなどに反映してみませんか?
ブランディングをきっかけに、Webサイトの表現や役割が広がることで、御社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に一役買う可能性もあります。
そして、次回は「ブランドを伝える」をテーマに、Webサイトの活用方法などについてご紹介します。どうぞお楽しみに!
>>グローバルネットコアのブランディング&Webサイト制作「Webサイトはブランディングでこう変わる!」
記事協力:株式会社アドハウスパブリック