【オンプレミス→クラウド移行】メリット・デメリットを徹底解説

2022.04.13(水)

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【オンプレミス→クラウド移行】メリット・デメリットを徹底解説

あらゆるサービスにおけるクラウド活用が進む現代においては、オンプレミスからクラウドへの移行を積極的に進めようとしている企業も多いのではないでしょうか。しかし、これまで利用してきたオンプレミス環境から新しいクラウド環境へ移行すると、メリットもあれば、逆に不都合に感じられる点も発生するものです。したがって、計画を進める際には、前もってメリット・デメリットを確認しておくことが重要です。

そこで今回は、オンプレミスからクラウドへ移行するメリットとデメリットを中心に、移行手順のポイントや適切な進め方について解説します。クラウド移行を検討する際にはぜひ最後までご覧ください。

オンプレミスとは

はじめにオンプレミスとは何なのかという概要から整理していきましょう。

オンプレミスは、自社サーバー・ネットワークで運用をする環境、もしくはその運用方法のことを指します。業務システムなどのITシステムを構築する場合、従来は社内にサーバーやネットワーク機器を揃え、その上で導入や運用、保守を行う必要がありました。
近年は自社サーバーを必要としないクラウドサービスの活用も一般的になりましたが、つい十数年前までは、オンプレミスでのシステム運用が当たり前だったのです。自社で設備を用意する必要があることから、オンプレミスではイニシャルコストが多くかかるのが特徴です。

しかしオンプレミスの場合、自社運用だからこそカスタマイズ性に優れており、運用しやすいようにさまざまな機能を独自に搭載できるメリットがあります。

クラウドとは

オンプレミスに対してクラウドとは、自社でサーバーやネットワーク機器を用意せず、クラウド事業者が用意する環境やサービスを利用する形態のことを指します。オンプレミスとは異なり、社外の環境やサービスを利用することが前提となることから、インターネット経由で接続を行うのが一般的です。インターネットに接続できる環境とデバイスがあれば、独自に設備やソフトウェアを調達する必要がなく、迅速にシステムの構築や利用を開始することが可能です。

クラウドを利用する場合、データも全てクラウド側に保存されます。インターネット環境と正しい認証情報さえあればどこからでもデータにアクセスすることができるため、昨今のビジネスの流れでいえばリモートワークにも向いているのがポイントです。自社で設備を用意する必要がないことから、クラウドはイニシャルコストが少なく、気軽に使い始められるというのが最大の特徴となります。

例えば、以下のようなサービスはすべてクラウドで展開されています。

  • Google Drive、Dropbox(クラウドストレージ)
  • Teams、Chat work(チャットツール)
  • Gmail、Yahoo!メール(webメール/クラウドメール)
  • Google Document、Evernote(文書編集アプリケーション)

オンプレミスとクラウドの違い

以下では、オンプレミスとクラウドの違いを比較表にしました。

オンプレミス

クラウド

特徴

自社運用

外部のサーバー(クラウドサーバー)を利用

サーバー・ネットワーク機器

必要

不要

システム構築にかかる時間

時間がかかる

時間がかからない

イニシャルコスト

高い

安い、または0

ランニングコスト

低い

高い

セキュリティ

高い

オンプレミスに比べると低い

カスタマイズ性

高い

オンプレミスに比べると低い

普及度

従来型

普及率が高まっている

障害が起きたら

自社対応

ベンダーに任せられる

リモートワーク

利用しづらい

利用しやすい

オンプレミスは、イニシャルコストがかさみやすい特徴があるものの、自社業務に合うように比較的自由にカスタマイズできたり、既存システムと連携できるように設定できたりするなどのメリットがあります。また、オンプレミスは自社ネットワーク内という閉じた環境下で利用することになるため、セキュリティ性に優れているのも特徴です。

一方でクラウドは何より気軽に利用できること、イニシャルコストを抑えることができ、早い段階でシステムの利用が始められることなどがメリットになります。オンプレミスと比較すると開かれたネットワーク経由でのシステム利用になるため、セキュリティには注意を払う必要がありますが、その利便性の高さから、今後普及率はますます高まっていくと考えられます。

MM総研が発表した国内クラウド市場のデータによれば、2018年の時点でクラウド市場の規模は2兆円近くになっており、2024年を迎える頃には5兆円を超える規模に成長すると予測されています。

>>参考:国内クラウド市場は2024年に5兆円超|株式会社MM総研

クラウドに移行するメリット

ここからは、オンプレミス環境からクラウド移行することによって得られるメリットについて解説します。主なメリットは以下です。

  • 運用負荷とコストの削減
  • 拡張性が高い
  • 利便性が高い
  • 老朽化しない

運用負荷とコストの削減

まずオンプレミスからクラウドに移行することで、運用負荷とコストを大幅に削減できる可能性があります。オンプレミスでシステムを稼働させている場合、基本的に自社運用となるため、以下のようなコストと手間がかかります。

  • サーバー機器のメンテナンスなどの維持費
  • 障害対応のためのエンジニアの人件費
  • その他管理のためにかかる手間

オンプレミスの場合には、何かトラブルが起きればすべて対応は自社で行わなければならず、そのための人件費や管理コストがかさみやすい特徴があります。これに対して、クラウド環境の場合には、機器のメンテナンスや障害時の対応などは自社で負担する必要がなくなります。クラウドの場合、オンプレミスと比べると月額料金などのランニングコストがかかりますが、自社の管理負担を軽減することができるので、十分に費用対効果は望めるといえます。

拡張性が高い

オンプレミス型と比較して、クラウドは拡張性が高いという特徴があります。拡張性が高いと、必要に応じて規模・データ容量などを自由に調節することができ、必要な分だけサービスを利用することが可能です。そのため、多くのクラウドサービスでは、事業規模やその後の需要の変化にあわせてプランや容量を調節できます。スケールに柔軟性があるということは、縮小すればした分だけコストも安く抑えられる可能性があるということです。

オンプレミスの場合だと、容量や規模を調節するにあたって逐一カスタマイズが必要になるため、プラン変更のみでは済まされないことが多いです。このように、クラウドに移行することで、システムのスケーラビリティが上がり、必要に応じてサーバーの規模を拡大・縮小することができます。

利便性が高い

クラウドは利便性が高いことでも知られています。

  • 社外からでもアクセスしやすい
  • データ共有がスムーズになる
  • 災害が起きたときもデータが守られる

例えばこのような利便性は、クラウド移行による大きなメリットだといえるでしょう。

オンプレミスからクラウドに移行することで、システムにはインターネットを通じて簡単にアクセスできるようになるため、社外からのシステム運用は非常に楽になります。リモートワークや外出中でも必要に応じてシステムに入れるため、業務効率化を促すポイントにもなるでしょう。

特に近年では、クラウドサービスを利用したリモートワークが盛んになっています。今後もインターネット環境・クラウド環境の普及、働き方改革の流れとともにリモートワークは推進されていくことが考えられるでしょう。また、データ共有のしやすさもクラウドの特筆すべき点といえます。

オンプレミスと比べてインターネット環境ベースでシステムを運用していくため、物理的に離れている拠点が複数ある企業は、システムをクラウド移行すれば拠点間のデータ共有もスムーズになります。

さらに、災害時のリスクを抑えられるのもクラウドが持つ利便性としてチェックしておきたいところです。
自社運用ではないため、万が一自社が被災して物理的に機器が破損するようなことがあっても、クラウドならデータは原則として守られます。なお、クラウドサービスはデータのバックアップを複数の拠点でとったうえでリスク管理を行っています。そのためクラウドベンダーが万が一被災するようなことがあっても、よほどのことが起こらない限りデータが消失するようなことはないといえます。

老朽化しない

オンプレミスからクラウドに移行することで、各種インフラの老朽化を防げるメリットにもつながります。
自社管理でサーバーやネットワークを運用している場合は、物理的な機器が必要になるため、機器の老朽化の心配が生まれます。そのため定期的にメンテナンスを行ったり、設備を買い替えたりすることは必須になります。しかしクラウドなら管理をすべてベンダーに一任しておけるため、老朽化の心配をする必要はなくなります。

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移行するデメリット・注意点

クラウド移行には多くのメリットがありますが、移行の際にはデメリットや注意点にも目を向けておく必要があります。 利便性の高いクラウドですが、クラウド移行の際には、以下の点に注意しましょう。

  • 既存システムが使えなくなる可能性がある
  • カスタマイズ性が低い
  • セキュリティ対策をあらかじめ確認する

それぞれ詳しく解説します。

既存システムが使えなくなる可能性がある

オンプレミスからクラウドに移行するときは、これまでとシステムの操作性や機能に大きな変更が発生する可能性があります。何も変更する必要なく、現システムをクラウドに移行できればそれに越したことはありませんが、移行の際にはさまざまな課題が生じることも多いです。そのため既存システムは解約し、新たにクラウドサービスを契約する場合も少なくありません。

また、クラウドへの移行にあたって新しいシステムに変更する場合は、運用体制やルールなどが大きく変わる可能性があります。こうした変更により、社内は混乱しやすくなるため、情報周知や研修、トレーニングといった対策を講じたうえで丁寧に移行計画を進めることが重要です。

カスタマイズ性が低い

クラウドサービスを利用する場合は、独自のシステムを構築するオンプレミスとは性質が異なるため、基本的に自由にカスタマイズすることは難しくなります。そのため、外部システムと連携して業務を進めたいときは、利用するクラウドサービスが対応しているかを確認する必要があります。もし対応していない場合には、システムの連携ができなくなるため、企業によっては、このカスタマイズ性の低さが難点に感じられることもあります。

クラウドは「システムを構築する」よりも、「既存のシステムから選ぶ」という性質が強いのが特徴になります。そのため、クラウド移行を進めても問題ないかどうかは、冷静に判断すべきだといえるでしょう。

セキュリティ対策をあらかじめ確認する

クラウドのセキュリティ性能が、オンプレミスと比べると劣っていると指摘される理由は以下の通りです。

  • 外部のネットワークを利用して運用をするため
  • セキュリティの品質は提供会社頼りになるため

クラウドサービスを利用する際には、自社のネットワーク内ではなく、外部のネットワークに接続して重要な情報をやり取りします。そのため、自然とセキュリティリスクは高まりやすく、情報漏洩などの心配も生まれてきます。

もちろん各種クラウドサービス提供会社は、安心してサービスを利用してもらうためにも、セキュリティ対策を徹底しています。そのため、「クラウド=セキュリティが甘い」ということにはなりません。

しかしながら、その品質も、自社で管理しているのではなく提供会社が管理・保証しているものなので、結局のところ他社依存になることは不安要素の一つといえます。利用の際には、情報漏洩などが発生しないように、社員それぞれが情報セキュリティのリテラシーを高く持つ必要があります。

オンプレミスからクラウドへの移行手順

最後に、オンプレミスからクラウドへ移行するときの手順・流れを整理しておきましょう。クラウド移行を進める際には、基本的に以下のプロセスで進めます。

  • 目標設定
  • 計画の作成
  • 具体的な作業や連絡体制を整理する
  • 動作の最終確認と既存サービスの解約

では、それぞれの行程におけるポイントを解説していきます。

目標設定

まずは目標や目的を設定します。はじめにクラウド移行を検討しているシステム・サービスを見直し、クラウドに移行する必要があるのかを整理していきます。移行する理由には、あわせて現在抱えているビジネス課題の存在が重要になります。「なんとなく必要そうだから」という漠然とした目的のみでは、移行計画もスムーズに進みません。

「テレワーク化の際に不便なため、システムの早急なクラウド移行が必要。」

「部門間のデータ共有が遅いため、一部のデータをクラウドで管理する必要がある。」

「既存システムの保守費用や負担が大きいため、負担軽減につながるクラウドサービスの利用を始めるべき。」

このように、課題を解消するためにクラウド移行をするという明確な目標・目的を定めることが重要です。

計画の作成

続いて、計画をより綿密に組んでいくことが重要になります。いつ、どのように移行していくのか、誰が計画の担当者になるのかなどを明らかにしていくことを忘れないようにしましょう。

また、クラウド移行の際には、2つ以上のシステム・サービスの移行を検討する場合もあるでしょう。その際には、どのシステム(データ)から移行していくのかを明確にしていく必要があります。

ほかには、

  • データの移行に回線が耐えられるのか
  • 移行作業を進めることで通常業務にどのような影響が出るか
  • 移行にあたって不要なデータの分類は必要か

このようなチェックも重ねたうえで、スムーズに作業を進められる計画をまとめていく必要があります。クラウド移行に際して、委託業者に依頼する場合は、社内の決定事項を確実に共有するとともに、実現性やスケジュール面に問題がないか確認しておきましょう。

具体的な作業や連絡体制を整理する

移行の計画が決まったら、それぞれの作業に担当者を割り当てていきます。また、大規模な移行作業の場合は、途中で何らかの問題が生じるケースも考えられます。その際にはスムーズに連携が取れるよう、社内はもちろん委託業者を含めて、それぞれの作業や連絡体制を整理して共有しておきましょう。

動作の最終確認と既存サービスの解約

クラウドの移行作業が完了したら、動作確認を忘れずに済ませておきましょう。一通りの操作を確認し、問題がなければ移行作業は完了となります。

なお、これまで利用してきたサービスの解約は、必ず移行作業が完了したことを確認してから行ってください。万が一移行にあたってトラブルが生じた場合、先に解約を済ませてしまっていると、移行前と移行後両方のシステムが使えなくなり業務に支障が出る可能性があるためです。

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必要性を見極めてよりよいクラウド化を

クラウドが広く普及した現代とはいえ、クラウドサービスについてわからないと思えることもたくさんあり、不安を感じることもあるかもしれません。クラウド移行の際には、オンプレミスとクラウドそれぞれの特徴、そして両者の違いをよく理解することで、その不安をクリアにすることが大切です。また、移行計画を進める際には、クラウド移行のメリットとデメリットを把握し、社内で十分に検討を重ねて意思決定をしましょう。

検討する際に、なかなか意思決定ができない場合は、第三者的な立場で相談に乗ってくれる、クラウド・オンプレミス双方に精通したプロに相談するのもひとつの方法です。

なぜクラウド移行が必要なのか、どのような課題を解消したいのかを明らかにしたうえで、必要に応じてプロの技術者の支援を受けながら、クラウド移行を安全に、そして効率的に進めていきましょう。

<オンプレミスからクラウドへの移行を検討中の企業のみなさまへ>

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