UTMの必要性とは?メリット・デメリットから選び方まで解説
2022.12.15(木)
- 運用・セキュリティ

社内ネットワークを安全に保護するセキュリティ製品といえば、UTM(Unified Threat Management)がそのうちの一つとして挙げられるでしょう。
UTMは多くのセキュリティ対策の手法がまとまっている製品なので、自社に取り入れることで簡単に本格的なセキュリティ対策を講じられるといえます。
そこで今回は、UTMの必要性についてまずは解説していきます。
UTMといえばその利便性の高さがポイントですが、そもそも本当に必要なのかと、導入前にはその必要性に対してしっかり検討しておきたいところ。
UTMの必要性やメリット・デメリットなどを考えたうえで、導入すべきかどうかの判断にお役立ていただけますと幸いです。
UTMとは
UTM(Unified Threat Management)とは、「統合脅威管理」のことを指します。 不正アクセスやマルウェアの送信など、さまざまなサイバー攻撃が社会問題となっている昨今では、企業はネットワークやIT資産を活用する際に、セキュリティ対策を強化することが重要になります。
そういった脅威に備えるためには、さまざまな手法を用いて第三者の侵入を防いだり、疑わしい通信を排除したりできるセキュリティ製品の存在が重要です。
しかしあらゆるタイプの製品をそれぞれ取り入れて対策を行うと、管理工数ばかりが増えてしまい、非効率的になるなどの課題が生まれてしまいます。
また、異なるタイプのセキュリティ製品を同時並行で運用すると、一部の製品同士の相性が悪い結果、機能を活かしきれないことも考えられます。
そこで管理の手間や無駄なコストを減らしつつ役に立ってくれるのが、UTMです。
UTMは、以下のようなあらゆるセキュリティ対策が集約されているのが特徴です。
- ファイアウォール
- ウイルス検知
- アンチスパム
- Webフィルタリング
- IPS/IDS
UTMを導入すれば、少ない管理工数とコストで品質の高いセキュリティ対策ができるようになります。
UTMの必要性
UTMを取り入れる際には、そもそもその必要性が気になるところです。
まずは現在のUTMの利用率や導入数などに関するデータを確認してみましょう。
日経クロステックの発表によれば、2018年にセキュリティ対策の内容や導入している製品についてアンケート調査を行ったところ、「UTM/ファイアウォールを利用している」と回答した企業は全体の45.8%だったといいます。
>>参考:首位はフォーティネットとヤマハ、UTM/ルーター部門の利用度|日経クロステック
これは2018年時点のデータですが、現在もUTMは多くの場で活用されており、高い需要がある製品であるといえるでしょう。
また、Report Oceanが2022年に発表したレポートによれば、UTMの世界市場規模は2021年から2027年までに14.3%の成長率が見込めるといいます。
>>参考:統合脅威管理(UTM)の世界市場は、2027年まで年間平均成長率14.3%で成長すると予想される|PR TIMES
これは世界の市場規模を予測するレポートではありますが、サイバー攻撃は世界的に大きな問題となっているのは変わりありません。
したがって品質の高いセキュリティ対策を効率的に実現したいと思ったときは、積極的にUTMの導入を検討していきたいところです。
- 一つの製品で複数のセキュリティ対策ができて効率的
- 管理の手間が大幅に軽減される
- 比較的安いコストで導入できる
主にこのような点がUTMの魅力といえます。セキュリティの品質アップを図るならUTMの必要性は高いと考えられます。
UTMの必要性が高い企業

UTMを取り入れるべきか迷ったときは、UTMの必要性が特に高いと想定される企業の特徴を確認しておきましょう。
特に以下の特徴に当てはまる企業は、UTMの導入は前向きに検討すべきといえます。
- 顧客情報を取り扱う企業
- 比較的小規模な企業
- 専任のセキュリティ担当がいない企業
- 早急に情報セキュリティ体制を強化したい企業
では、それぞれの特徴について詳細を解説していきます。
顧客情報を取り扱う企業
企業にとって、顧客情報の流出はなんとしても避けたいものです。
万が一顧客情報が外部に漏れるようなことがあれば、賠償責任に問われるようなことも考えられます。
顧客からの信用を失い、その信用回復には多くの時間を要することも予想されるものです。
そのため顧客情報を扱ってビジネスを行う企業は、品質の高いセキュリティ体制を敷いたうえで、顧客情報データベースへの不正アクセスなどを未然に防ぐ必要性があります。
UTMなら、一般に必要とされる各種セキュリティ対策が包括的に実現されるため、設置するだけで強固なセキュリティ対策ができるようになるのがポイントです。
比較的小規模な企業
UTMは、比較的小規模な企業のセキュリティ対策におすすめです。
セキュリティ製品を別々に揃えて対策すると、多くのコストがかかり、小規模な企業にとっては決して安くない負担になってしまうためです。
しかし、UTMならセキュリティリスク排除のために最低限必要な機能が全て備わっているため、多くの製品を用意する必要はなくなります。
コストも比較的安く、小規模な企業でも手が出しやすいのが特徴です。
専任のセキュリティ担当がいない企業
情報システム部や社内エンジニアなど、専任のセキュリティ担当がいない企業は意外と多いです。
しかし社内ネットワークを利用する以上、あらゆる脅威に備えるためには、一定以上のセキュリティ対策を行う必要があります。
そのような場合には、UTMを活用すると、専門知識がなくてもセキュリティ対策の運用ができるようになります。
UTMは次々と発見される脆弱性や新たな種類のサイバー攻撃に対して、定期的な自動アップデートによってに対応していくため、
担当者がメンテナンスを行わなくても常に最新の対策が可能です。
早急に情報セキュリティ体制を強化したい企業
「情報セキュリティの対策が足りておらず、すぐにでも体制を強化しなければならない。」という切羽詰まった状況の企業にも、UTMの導入は向いているといえます。
サイバー攻撃が深刻な問題となっている昨今、ネットワークを脅威のもとにさらした状態で運用するのは、リスクが非常に高いです。
そのような場合には、UTMを導入すれば、それだけで最低限必要なセキュリティ対策が準備できるため、セキュリティ強化を早急に実施することが可能です。
導入のメリット

UTMには、主に以下のメリットがあります。
- 必要最低限のセキュリティ対策が簡単に行える
- トラブル時にすぐに対応ができる
- 導入コストが低い
これらの点に魅力を感じたら、導入は積極的に検討したいところです。 では、それぞれのメリットの詳細について解説します。
必要最低限のセキュリティ対策が簡単に行える
UTMなら、安心してネットワークを利用するために必要最低限とされるセキュリティ対策の全てに対応が可能です。 例えば、UTMでは以下のような機能を活用できます。
セキュリティ種類 |
機能内容 |
ファイアウォール |
ネットワークを監視し不正アクセスを防ぐ |
アンチウィルス |
ウイルス感染防止のためのウイルスブロック機能 |
IPS/IDS |
ネットワーク上での不正な通信を検知・遮断 |
アンチスパム |
スパムメールやフィッシングメールをブロック |
Webフィルタリング |
悪質なWebサイトの表示を防ぐ |
これらの機能がUTM製品のみで完結するのは、大きなメリットの一つといえるでしょう。
トラブル時にすぐに対応ができる
トラブル時の対応が早いのも、UTMによって感じられるメリットの一つです。
UTMでは、運用中に故障したり不具合が起きたりしても、基本的には製品を交換するのみで簡単に対処を終えることができます。
復旧までに時間を多くかけずに済むため、故障中に脅威にさらされるリスクも低くなります。
導入コストが低い
導入コストが低いことも、UTMの魅力的なメリットといえるでしょう。
セキュリティ強化のためのソフトウェアをそれぞれ導入する場合は、一つひとつに導入コストがかかり、決して安くないコストを支払っていく必要が発生します。
一方UTMなら、それぞれのセキュリティ機能をまとめて一つの製品で対応できるため、導入コストは比較的抑えることが可能です。
また、管理工数も大幅に削減されるので、セキュリティ対策におけるコストを全体的に下げることもできます。
導入のデメリット・注意点
UTMはあらゆるメリットについて期待が持てますが、導入の際には、以下のデメリットや注意点にも目を向けておきましょう。
- カスタマイズ性が低い
- 不具合が発生すると全ての機能がダウンする
UTM導入にあたってのデメリットの詳細について解説していきます。
カスタマイズ性が低い
自社の業務形態などに合うようにカスタマイズをしながら、セキュリティ品質を高めたい場合には、UTMの活用は残念ながら向いていないと考えられます。
UTMは必要最低限のセキュリティ機能が標準搭載されているのが特徴なので、拡張性は高くありません。
したがって、自社に合わせて自由にカスタマイズするのは難しいです。
ただし、製品の特徴や希望するカスタマイズの内容によっては実現可能な場合もあるので、まずは一度問い合わせてみることをおすすめします。
不具合が発生すると全ての機能がダウンする
一つの製品にセキュリティ対策がまとまっているのは、管理工数が減るという意味ではメリットになりますが、故障したときのリスクが大きくなりやすいのはデメリットといえます。
もしUTMが故障するようなことがあれば、例えばファイアウォールだけでなく、Webフィルタリング、アンチウィルスなどの機能、すべてが一気にダウンしてしまう可能性があります。
これは機能が一つにまとまっているからこそのデメリットといえるでしょう。
UTMの選び方

UTMを安心して運用するなら、自社に最適なUTMの選び方を知っておく必要があります。 一口にUTMといっても、製品によって特徴は異なります。
まずは、以下の点を確認したうえで、活用できる製品を見つけることが大切です。
- 自社の要件を満たせるか
- 使いやすさ
- 耐久性
- サポート体制
自社の要件を満たせるか
まずはUTMを取り入れるにあたって、自社では何を望むのかを整理しておきましょう。
- セキュリティに詳しくないため誰でも簡単に扱えるものが良い
- ネットワークセキュリティに不安があるがコストは安く体制強化を行いたい
例えば、このように要件が考えられるでしょう。
自社の要件を満たせないのであれば、導入する意味がなくなってしまうので、事前に整理することが重要です。
使いやすさ
操作性や機能のわかりやすさなど、全体的な使いやすさにおいて魅力を感じられるかどうかも重要です。
操作性がわかりにくいものだと、設定を行う際にも時間を取られてしまいます。
なお、海外メーカーのUTMの利用には注意が必要です。
日本語対応していれば問題はありませんが、英語のみなどの場合はせっかく魅力的な機能があっても使い方に困ってしまう可能性が考えられます。
耐久性
UTMを選ぶときは、製品の耐久性も確認しておきましょう。
UTMでセキュリティ対策を行うと、万が一機器が故障したり、不具合が出たりしたときは、社内ネットワークが脅威にさらされた状態になる可能性があります。
そのためUTMを選ぶなら、障害に強い製品であることが理想です。
耐久性が高くトラブルの起こりにくい製品であれば、万が一のときのリスクも抑えられるでしょう。
サポート体制
サポート体制に関しても、導入前に確認しておきましょう。
サポート対応時間の確認や、困ったときに速やかにサポートしてもらえるのかを確認しておくと、社内にセキュリティ対策に関して詳しい人材がいなくても安心できます。
ただ、注意したいのは、UTMのメーカーの多くは海外だということです。
サポートが日本語に対応していない場合は、手厚いサポートを受けるのが難しくなります。
そのため海外製UTMを選ぶ際には、国内の業者がサポートも含めて窓口になってくれることが重要です。
製品を選ぶときは、どのような国内サポートを受けられるのかも合わせて確認しておきましょう。
まとめ:必要性を理解して導入の検討を
UTMはさまざまな脅威への対応が可能で、セキュリティを一元的に管理できるのが特徴です。
そのため、特にセキュリティ対策に多くのリソースを割けない企業や、顧客情報を扱ってビジネスを行っている企業などには、必要性の高いセキュリティ製品であるといえます。 実際にUTMの需要は世界的にも伸びており、今後もその市場規模は拡大していくとみられています。
UTMの必要性や導入のメリット・デメリットをよく理解したうえで、自社に合う製品を見つけていきましょう。
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