社内ネットワークの構築手順|基礎知識・ポイント・必要な機器を紹介
2024.02.22(木)
- ITインフラ

企業が業務を行うために欠かせないのが社内ネットワークです。
社内のパソコンやOA機器が相互通信できると、利便性が高まり業務の効率化・生産性の向上などにつながります。
また、安全で便利な社内ネットワークを構築することで、いつでもどこからでも業務ができるようになり、テレワークなどの柔軟な働き方が実現できるようになります。
この記事では、社内ネットワークの構築手順やポイントなどを解説します。
社内ネットワークとは
社内ネットワークとは、企業内のコンピューターやサーバー、プリンターなどの機器を接続するネットワークのことです。フロア内、ビル内、拠点間などの通信が可能になり、システム、ファイル共有、グループウェアなどへのアクセスに使われます。
社内ネットワークを構築すると、日常の業務で使う各機器が相互通信できるようになります。従業員同士の情報共有がスムーズになり、業務の効率化や生産性向上などの効果が期待されます。
社内ネットワークは企業が業務を実施するうえで欠かせないものです。社内ネットワークを構築する方法には、さまざまな種類があります。
また、社内ネットワークは見直しや変更に手間がかかるので、適切な社内ネットワークを構築するために理解を深めていくことが重要です。
社内ネットワークを種類別に紹介

社内ネットワークは大きく分けて、以下3種類があります。
- LAN
- WAN
- DMZ
それぞれ見ていきましょう。
LAN
LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略で、ビル内や敷地内など限られた範囲でコンピュータを接続するネットワークのことです。家庭や企業、大学、官公庁などさまざまなシーンで活用されるネットワークです。
LANには「有線LAN」「無線LAN」の2種類があります。それぞれの概要を紹介していきます。
有線LAN
有線LANは、物理的なケーブルを利用して機器同士を接続するLANのことです。スイッチやハブ・ルーターとパソコンをケーブルで直接接続すると、ネットワークが利用できるようになります。
有線LANの代表的な通信規格にイーサネット(Ethernet)があります。イーサネットには、伝送速度が100Mbpsのファスト・イーサネット、伝送速度が1Gbpsのギガビット・イーサネットなどの種類があり、用途に応じて使い分けが可能です。
有線LANのメリットは、通信が安定している点です。ケーブルを介して通信が行われることから、障害物や電波の影響を受けづらくなっています。
ただし、新規で有線LANを構築する場合は、社内にケーブルを引き回すため利用する場所をあらかじめ綿密に計画する必要があります。また、ケーブルを敷設するための費用が発生します。
無線LAN
無線LANは、電波による無線通信を利用してコンピュータ同士を接続するLANのことです。 無線LANの代表的な規格にWi-Fi(IEEE 802.11)があります。
無線LANのメリットは、電波が届く範囲内であれば、場所を問わずネットワークに接続できる点です。従業員の座席を固定せず自分の好きな場所で働くフリーアドレスを導入する場合や、業務中に打ち合わせなどで頻繁に席を移動するようなケースに適しています。
また、無線LANは社内にケーブルを引き回す必要がないため、有線LANよりもコストを抑えて導入することも可能です。
ただし、無線LANはセキュリティ対策が必須です。必要な設定をしないと誰でも接続できるため、情報が漏洩するリスクがあるからです。
WAN
WANは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略で、地理的に離れた拠点間をつなげるネットワークのことです。具体的には、本社と支社、工場、研修施設などとの通信に利用されます。
WANは、物理的に通信インフラを設ける専用線、VPN(Virtual Private Network)などを利用して構築します。
WANのメリットは、広範囲の接続が可能な点です。日本各地はもちろん海外の拠点とネットワークを接続可能です。物理的な移動を減らせて、スムーズな情報共有が行えます。
ただし、WANを構築する際は自社だけで対応することが困難で、WANを提供する通信業者を利用する必要があります。
DMZ
DMZは「Demilitarized Zone(ディミリタライズド ゾーン)」の略で、社内ネットワークとインターネットの接点に設置されるセキュリティ上の独立した領域です。外部ネットワークとアクセスするWebサーバーやメールサーバーなどをDMZに配置して利用します。
DMZのメリットは、セキュリティの強化につながる点です。DMZを設置すると、社内ネットワークに外部から直接アクセスされないようにできます。外部からの攻撃や不正アクセスなどを防ぐことが可能です。
ただし、DMZを設置するとネットワーク構成や設定が複雑になり、運用の手間がかかる可能性があります。
社内ネットワークを構築する際のポイント

続いて、社内ネットワークを構築する際のポイントを解説していきます。
- IPアドレスを管理する
- ネットワークの規模を把握する
- トラフィックを可視化する
- セキュリティ対策をする
上記を意識して、社内ネットワークの構築に取り組んでみてください。
IPアドレスを管理する
社内ネットワークを構築する際は、適切にIPアドレスを管理する必要があります。IPアドレスとは、ネットワークに接続する機器に割り振られる番号のことです。
社内ネットワークに接続している機器のIPアドレスが重複すると、正常に動作しなくなります。
ネットワークの規模を把握する
会社の拠点や接続台数に応じて、必要な機器や数、性能が異なります。例えば、接続台数が多い大規模なネットワークを構築したいにも関わらず、機器の数が足りないと接続できない端末が発生したり、性能が低いと通信のレスポンスが低下したりします。
社内ネットワークを構築する際は、業務に利用する端末の数、フロア数、拠点数、オフィスの広さなどからネットワークの規模を調査し、必要な機器を用意しましょう。
トラフィックを可視化する
社内ネットワークを構築するなら、トラフィックの可視化を行いましょう。
トラフィック量が増加すると通信回線が混雑するため、ネットワーク障害や通信の遅延が発生する可能性があります。ネットワークにトラブルが発生すると、円滑に業務を実施できないことも想定されます。
社内ネットワークのトラフィックを可視化する仕組みを導入すると、リアルタイムで通信の状況を把握できます。万が一トラブルが発生しても対処しやすくなるでしょう。
セキュリティ対策をする
社内ネットワーク構築時は、セキュリティ対策も欠かさず実施しましょう。ネットワークの種類によってセキュリティに不安が出てくるためです。特に無線LANはパスワードをかけていないと、誰でもアクセスできる状態となってしまいます。
ネットワーク機器のパスワードは必ず初期設定のものから変更して、外部からの不正アクセスを防止しましょう。
また、セキュリティソフトの導入も効果的です。認証・暗号化・システム監視など、さまざまな機能があるため、不正アクセスやサイバー攻撃などから社内ネットワークを保護できます。

社内ネットワークの構成例【フロア・拠点別】
社内ネットワークの構成は、フロア数、拠点数、接続する機器などによって異なります。
初めて社内ネットワークを構築する方は、どのような構成で作成すればよいのかイメージがつかめないと思います。まずは、導入するネットワーク構成をイメージしてみましょう。イメージできれば、スムーズに構築を進められます。
1つの拠点の例
1拠点の場合は、1つのルーターで問題ありません。パソコンや複合機などとルーターをスイッチ・ハブを介して接続すれば社内ネットワークを構築できます。
2つ以上の拠点の例
各フロア・拠点の構成は1拠点のときと変わりません。拠点間をつなぐためには、専用線やVPNなどを使用してルーター同士を接続します。
社内ネットワークの構築手順

続いて、社内ネットワークの構築手順を紹介します。
- 課題・問題点を洗い出す
- ネットワークを設計する
- ネットワークの設定・工事を実施する
- 運用・管理を実施する
それぞれ見ていきましょう。
課題・問題点を洗い出す
社内ネットワークは、ただ単に構築しても効果につながりません。社内の課題・問題点などの現状を明確にしたうえで、解決につながる社内ネットワークを構築していきましょう。
課題の例として「スムーズに大容量のデータ通信がしたい」「時間によって通信が遅くなる」「事業展開にあわせて拡張できる社内ネットワークにしたい」などが想定されます。期待する効果を得られるように、現状の社内ネットワークに関する課題や問題点を調査してみましょう。
また、一度構築した社内ネットワークの見直し・変更には時間と手間がかかります。そのため、現状の課題を洗い出すのはもちろん、今後の利用状況も予想して検討していくことが重要です。
ネットワークを設計する
現状分析に基づいて、社内ネットワークの設計をしていきます。
具体的には以下のような設計をします。
- 規格
- 構成
- 必要な機器
- 運用体制 など
社内ネットワークの設計をする際は、できる限りシンプルなものにしましょう。社内ネットワークがシンプルな設計だと、構築後の運用がしやすくなります。
ネットワークの設定・工事を実施する
事前に決めた社内ネットワークの設計に基づいて、ケーブル配線やルーター・スイッチ・ハブなどを設置し、各ネットワーク機器の設定を行いましょう。
新規で社内ネットワークを構築する場合、工事が必要になるケースがあります。自社のみで対応するのが難しい時は、ネットワーク構築の会社に依頼しましょう。
運用・管理を実施する
社内ネットワークの設定・工事が完了したら、社内ネットワークの運用を開始していきます。運用体制を整えておくと、万が一トラブルが発生してもスムーズに対処できます。
また、社内ネットワークの運用・管理をマニュアル化することも効果的です。運用・管理の属人化を防げるため、業務の品質を高められます。
社内ネットワーク構築に必要な機器

最後に社内ネットワークの構築に必要な機器を紹介していきます。
- LANケーブル
- ルーター
- スイッチ・ハブ
- OA機器
- インフラ機器
それぞれ参考にしてみてください。
LANケーブル
有線LANの社内ネットワークを構築するなら、LANケーブルが必要です。コンピュータ、サーバー、ルーター、ハブなどのネットワーク機器を接続するために使用します。
LANケーブルには、以下の種類があります。
- UTPケーブル:家庭や小規模オフィスなどに利用される
- STPケーブル:ノイズ対策が強化されており、工場など特殊な環境で利用される
- 光ファイバーケーブル:ノイズに強く高速性に優れている
自社の用途にあわせて適切なLANケーブルを用意しましょう。
ルーター
ルーターはLANの入口に設置する機器で、異なるネットワークに接続できます。拠点間のLAN同士の接続やインターネット接続を行う際にルーターが必要です。
無線LANで社内ネットワークを構築する際は、Wi-Fi機能がある無線LANルーターを使用します。ケーブルを使わなくても、コンピューターを社内ネットワークに接続できるようになります。
スイッチ・ハブ
スイッチやハブは有線LANの構築に使う機器で、ルーターと電子機器の接続に必要です。複数のネットワーク機器を接続したり、複数フロアで社内ネットワークを構築したりする際にハブを利用します。
ハブは受信したデータを接続されたすべてのポートにブロードキャスト(一斉同報通信)し、ネットワーク上にあるすべてのデバイスにデータ転送します。
スイッチ(スイッチングハブ)を使用すると、送信元と宛先アドレスに基づいたデータ転送が可能です。特定の機器に対してデータを転送できるようになり、効率的にネットワークを活用できます。
OA機器
パソコンだけでなく、コピー機やFAXなどのOA機器を社内ネットワークに接続するケースも多いでしょう。
例えば、複合機を社内ネットワークに接続すれば、どのパソコンからでも印刷ができるようになります。電子機器同士でスムーズな連携ができるようになるため、業務の効率化につながります。
インフラ機器
サーバーやストレージなどのITインフラ機器も社内ネットワークに接続できます。特にサーバーはファイルやメールなどの情報を保管・管理するために利用する企業も多くあるでしょう。
社内ネットワーク内にサーバーがあれば、どのパソコンからでも社内情報にアクセスできるようになり、業務の利便性が格段にアップします。
~まとめ~快適な社内ネットワークで効率アップ!
ここまで社内ネットワークの構築ポイントや構築手順などを解説しました。
社内ネットワークは、企業内の電子機器(社内のパソコンやプリンター、サーバーなどのオフィス機器)を接続するネットワークのことです。社内ネットワークを構築すれば、各機器が相互通信できるため、円滑に業務を進めやすくなります。結果、業務の効率化や生産性向上につながります。
社内ネットワークを構築する手順は、以下のとおりです。
- 課題・問題点を洗い出す
- ネットワークを設計する
- ネットワークの設定・工事を実施する
- 運用・管理を実施する
社内ネットワークの構築・運用には専門知識が必要になるため、自社のみでの対応に不安を感じるケースも想定されます。そのような場合は、外部の専門家に依頼するのも1つの方法です。
本記事を参考に、社内ネットワークの基礎知識を理解して、より良いIT環境を目指して構築を検討してみましょう。
<社内のIT環境にお悩みのみなさまへ>
状況がめまぐるしく変化する昨今。業務の効率化・生産性のアップ・柔軟な働き方の実現に社内ネットワークは大きな役割を果たします。
言い換えると社内ネットワークの改善により、事業の強化や優秀な人材の定着など、企業の差別化にも貢献すると言えるでしょう。
また、「ネットワークの知識がある担当者がいない・退職した」などの理由で、「社内ネットワークの状況が分からなくなった・管理ができない」といったケースも散見されます。
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