「世界3大クラウドサービス」を比較!その違いをチェック[2024年6月版]
2021.08.30(月)
- クラウド
クラウドシフトという言葉をご存じですか?これは、自社で運用するコンピューターシステムをクラウド環境へ移行することです。
DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれるなか、「そろそろクラウドシフトを」と考えている企業のみなさまも多いのではないでしょうか?
昨今のクラウドサービスの普及によりクラウド事業者は増え、各クラウド事業者のサービスも拡充しつつあります。例えば、世界最大のシェアを誇るAmazon Web Services(AWS)は、現在約240種類以上ものサービスを提供しています。
そうした状況下でクラウドシフトを進めるにあたり、クラウドサービスの比較は欠かせません。比較してみることで初めてわかること、比較するからこそ認識できるメリット・デメリットもあるでしょう。
そこで今回は、クラウドサービスを導入するなら、まずは比較したい3大クラウドサービスの特徴を紹介します。
世界3大クラウドサービスとは?
クラウドサービスは、クラウド事業者が提供しているコンピューティングリソースやサービスを、インターネットを介して利用できるサービスです。
クラウドサービスが普及する以前、多くの企業は自社またはデータセンターにおいて物理的なサーバーを自ら管理し、インフラを構築する「オンプレミス」方式を採用していました。
しかし近年では、クラウドを基盤として最初から設計される「クラウドネイティブ」環境の構築が進んでいます。
実際にクラウドサービスの検討をしていると、3大クラウドというキーワードを目にすることも多いかと思います。
3大クラウドとは、以下のクラウドサービスのことを言います。
- Amazon Web Services(AWS)
- Microsoft Azure(Azure)
- Google Cloud Platform(GCP)
ECサイトでおなじみのAmazon、WindowsでおなじみのMicrosoft、ネット検索でおなじみのGoogleといった、世界を代表する企業がそれぞれ特長を持ったクラウドサービスを展開しています。
AWS・Azure・GCPのシェアを比較
データ引用元:Synergy Research Group社サイト(英語表示)
AWS・Azure・GCPが「世界3大クラウド」と言われる理由の1つに、その高いシェア率が挙げられます。
調査会社のSynergy Research Groupが調査した、2023年第1四半期時点における世界でのクラウドインフラのシェアを見ると、3大クラウド合計でなんと世界の65%のシェアを持っていることが分かります。AWSだけでも30%以上のシェアを獲得しており、世界最大のクラウドサービスと言えるでしょう。
また、クラウド市場も前年同時期比で20%以上の伸長があり、右肩上がりでクラウドの利用が進んでいることが見て取れます。
クラウドサービスの提供範囲と種類
世界で65%のシェアを占めるこれら3大クラウドを比較する前に、クラウドサービスの種類についても知っておきましょう。
クラウドはユーザーが利用するサービスの構成要素(クラウド事業者が提供する範囲)によって、大きく次の3つに分類されます。
IaaS
(Infrastructure as a Service / イアース / アイアース)
インターネット経由でサーバーやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラまでを提供するサービスです。ホスティングと比較すると、IaaSはCPUやメモリ、ストレージなどのスペックを自由に選択でき、機能拡張・縮小にも柔軟に対応できる所が長所です。
必要なシステム環境を自由に設計できるほか、料金もスペックに応じて利用した分を支払う従量課金型なので、コストパフォーマンスにも優れています。自由度が高い反面、インフラ設計やサーバー管理・運用のスキルなど、IaaSの利用を前提とした専門知識が必要となります。
PaaS(Platform as a Service / パース)
インターネット経由でシステム開発に必要なミドルウェアやデータベース管理システム、プログラミング言語、サーバーOSなどといったソフトウェア一式を提供するサービス。エンドユーザーにはなじみが薄いサービスですが、システム開発をされている方は利用しているかもしれません。PaaSは、開発で必要になる基盤やツールを提供してくれるため、複雑で面倒な開発環境を整える手間がなくなり、システム開発に集中できるというメリットがあります。
SaaS(Software as a Service / サース)
従来はパッケージとして提供されていたアプリケーションを、インターネット上で利用できるサービスです。端末にアプリケーションをインストールすることなく、必要なサービスをインターネット経由で手軽に利用することができます。「Microsoft 365」などのオフィスソフトや「Gmail」などのWebメール、「iCloud」などのオンラインストレージ、「サイボウズ」などのグループウェアがその代表格で、ビジネスシーンでもよく登場すると思います。エンドユーザーにとっては、一番なじみのあるクラウドサービスです。
3大クラウドサービスを比較!特徴・違い・得意分野をチェック
AWS、Azure、GCPなどの主要なクラウドサービスは、核となる強みを持っています。ここでは、一般的なニーズに対する特徴と、市場で高い需要を持つ「仮想サーバー」と「オンラインストレージ」という2つの主要サービスを比較します。
クラウドサービス | AWS | Azure | GCP |
一般的なニーズ | スタートアップから大企業まで、あらゆる規模の企業に適用可能 | Microsoftの関連サービスとの統合性が高い。既存のWindowsベースのインフラをクラウドへスムーズに移行できる | データ分析と機械学習に強く、高性能なコンピューティングを提供 |
仮想サーバー | Amazon EC2 | Azure Virtual Machines | Compute Engine(GCE) |
多種多様なワークロードに対応する豊富なインスタンスタイプを提供 | 選択したサイズによって、処理能力、メモリ、ストレージの容量、ネットワーク帯域幅などニーズに合わせた選択が可能 | プラットフォーム全体での統一された認証と簡単なGoogleサービス連携 | |
オンラインストレージ | Amazon Simple Storage Service (S3) | Azure Blob Storage | Cloud Storage(GCS) |
高いスケーラビリティとセキュリティを誇るオブジェクトストレージ | 大規模な非構造化データの保存に適したストレージ | 制限なしに非構造化データを保存できるマネージドサービス |
3大クラウドサービス比較表
AWS、Azure、GCPは、使用したリソースの量に応じて料金が発生する従量課金制です。
ここでは、特定のリージョンでのコンピューティングとストレージサービスの料金を比較します。条件は以下のとおりです。
- AWS US East(Northern Virginia)
- Azure East US
- GCPのNorthern Virginia(us-east4)
コンピューティングサービスの料金比較
クラウドサービス | 料金(1時間あたり) | 料金(1ヶ月あたり) |
Amazon EC2 | $0.124 | $56.94 |
Azure Virtual Machines | $0.07 | $49.05 |
GCE | $0.122 | $48.54 |
ストレージサービスの料金比較
クラウドサービス | 料金(GB/月) |
Amazon S3 | $0.023 |
Azure Blob Storage | $0.021 |
GCS | $0.023 |
各クラウドサービスの料金は、サービスの種類や使用量によって異なります。また、料金は変動するため、選択時には各クラウドサービス公式の最新の料金情報を確認してください。
参考:
AWS https://aws.amazon.com/jp/s3/pricing/
Azure https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/storage/blobs/
GCP https://cloud.google.com/storage/pricing?hl=ja
選定時のポイント
クラウドサービスを選定する際に押さえておきたい以下3つのポイントについて、実際に導入された事例と併せて紹介します。
- セキュリティ
- サポート体制
- 互換性および拡張性
セキュリティ
セキュリティは、クラウド導入を検討する際に懸念されやすいポイントです。各クラウド事業者が行っているセキュリティ対策を紹介します。
AWS
AWSは業界を牽引するセキュリティを提供しており、多層的なセキュリティアーキテクチャと継続的なコンプライアンス監視を実施している点が特徴です。
ISO 9001やFISC、ISMAPなど複数の第三者機関による認証を取得し、国ごとに定められたセキュリティのレベルをクリア。大手金融機関や政府機関など、クリティカルなシステムにも幅広く採用されている実績があります。
以下は、AWSの基盤を使用して重要なシステムを構築した事例です。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、4000万の口座情報などの各種データを活用する基盤をAWS上に構築
- 経済産業省は、法人情報検索DBの基盤にAWSを採用
参考:
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/mufg-case-study/?did=cr_card&trk=cr_card
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/meti/?did=cr_card&trk=cr_card
Azure
Azureは、Microsoftの長年にわたるセキュリティ経験を生かし、高度な脅威保護とデータのプライバシー保護の提供を行っています。Azureではゼロトラストの考え方が基本です。ゼロトラストとは、どのアクセスもデバイスも信用しないことを前提とした考え方を指します。
ゼロトラストにもとづき、すべてのレイヤーにおいて高度な脅威対策と通信の暗号化を適用することで、企業の重要な業務アプリケーションとデータ保護を行っています。
Azureの導入事例は以下のとおりです。
- 大阪府は、セキュリティが万全なAzureでデータを集約し可視化したデータ利活用による「大阪府市町村データ活用プラットフォーム」を構築
- トヨタはAzureのブロックチェーン技術を活用し、知的財産保護の新たな仕組みで紙では困難だったプロセスのデジタル化を実現
参考:
https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/1528311519786775868-osaka-prefectual-national-government-azure-ja-japan
https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/1601760713295621819-toyota-automotive-azure-ja-japan
GCP
GCPを提供するGoogleは、長年にわたりセキュリティとプライバシーを重視する文化を作り上げています。雇用プロセスから研修プログラムに至るまで、すべての従業員に対してセキュリティ意識の保持を徹底。また、専任のチームがセキュリティ研究コミュニティと連携し、リアルタイムの脅威検出やAIを活用したセキュリティ分析を行っています。大手小売業者がGCPを使用して顧客データを保護し、同時に分析を行っている例が多く見られるのも特徴です。
GCPを採用した企業事例は以下のとおりです。
- イオンリテールは、年間のべ数億人の顧客が生み出す膨大な購買データをBigQueryによって高速に分析・活用
- コカ・コーラボトラーズジャパンは、約70万台の自動販売機の分析および機械学習による予測プラットフォーム構築を実現
参考:
https://cloud.google.com/customers/aeonretail/?hl=ja
https://cloud.google.com/customers/ccbj/?hl=ja
サポート体制
AWS、Azure、GCPは、企業のニーズに応じてさまざまなサポートプランを提供しています。
AWS
プラン | ベーシック、デベロッパー、ビジネス、エンタープライズ |
サービス範囲 | ・すべてのユーザーに基本的なカスタマーサービスとサポートフォーラムを提供 ・プランが高いほど、迅速なテクニカルサポートや応答時間、アーキテクチャレビュー、プロアクティブなガイダンス、運用サポートが提供される ・大規模企業や要求の厳しいアプリケーションに対応 |
Azure
プラン | ベーシック、デベロッパー、スタンダード、プロフェッショナルダイレクト |
サービス範囲 | ・請求とサブスクリプションの管理サポートを基本プランで提供 ・24時間年中無休のセルフヘルプリソースとAzure Advisorを利用可能 ・上位プランでは、より優れた応答時間で、アプリケーション開発と運用に個別サポートを提供 |
GCP
プラン | ベーシック、スタンダード、エンハンスト、プレミアム |
サービス範囲 | ・全プランで無制限のサポートアクセスを提供 ・スタンダードプラン以上でマルチチャネルのサポートと課金サポートを提供 ・上位プランでは応答時間の短縮、専門家によるレビューとテクニカルサポートを提供 |
各クラウド事業者が提供しているサービスの詳細は以下をご確認ください。
参考:
AWS https://aws.amazon.com/jp/pricing/?nc2=h_ql_pr_ln&aws-products-pricing.sort-by=item.additionalFields.productNameLowercase&aws-products-pricing.sort-order=asc&awsf.Free%20Tier%20Type=*all&awsf.tech-category=*all
Azure https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/#product-pricing
GCP https://cloud.google.com/pricing/?hl=ja
互換性および拡張性
クラウドサービスは、一般的に使われているLinuxやWindowsサーバー、MySQL、PostgreSQLなど汎用的なインフラ基盤をクラウド上で再現できます。リソースにおいてもほぼ無制限で、サービスごとに定められた追加料金を支払うことで利用可能です。それらを踏まえて、スムーズな移行を促してくれるサービスや、拡張性をサポートしてくれるサービスを選定しましょう。
AWS
「AWS Migration Hub」を利用すれば、アプリケーションの移行状況をポートフォリオとして可視化できます。移行に最適なツールを、AWSおよびパートナー企業の提供しているツールから選択可能です。
Migration Hubは単体でのコストは発生しません。選択した移行ツールやAWSのリソースに応じた料金が発生するのみです。
拡張性については、AWS Auto Scalingのサービスを利用することでEC2、ECS、DynamoDB、Auroraなどのリソースを自動でスケーリングできます。これにより、コストを抑えつつ安定したパフォーマンスを維持できるでしょう。
Azure
Azureでは「Azure Migrate」を使用して、オンプレミスの環境を検出、評価、移行を段階的に支援しています。
フェーズは、移行プロジェクトの作成、オンプレミスの移行対象の検出、移行対象の評価、移行の実施の4段階に分かれており、Azure環境への最適化と最新テクノロジーの適用をサポートしてくれます。
さらに「Azure Virtual Machine Scale Sets」によって、負荷や設定にもとづき仮想マシンの自動スケーリングが可能です。
GCP
GCPでは「Migrate to Virtual Machines」を通じて、さまざまな規模のワークロードでGCPへの移行をサポートします。
まず、オンプレミス環境にGCPが提供するMigration Connectorを構築し、そこへオンプレミス環境のデータをレプリケーションします。そのレプリケーションをもとに、GCPで環境を再現する流れです。
拡張性については、GCEに組み込まれているオートスケーリング機能を用いることで自動スケーリングが可能となります。
Amazon Web Services(AWS)
世界最大のシェアを持つクラウドサービスであるAWS。Amazonが展開するECサービス提供のために構築・運用していた自社のITインフラのリソースを生かして、2006年にサービスをスタートし、今や、世界190カ国以上で利用されています。
仮想サーバーの作成、ストレージやデータベース機能の提供、ビッグデータ分析、システム開発環境の構築、AI(機械学習)機能の利用、動画や画像などのコンテンツ配信といった、あらゆるジャンルのITリソースやWebサービスを利用できます。
また、3大サービスの中で一番歴史があり、公開されているユーザー事例も豊富に存在しているので、参考にできる活用方法や、技術的なノウハウを得られやすいところもポイントです。クラウド化をするなら必ず選択肢に入れておきたいところです。
AWSサービス一覧表
コンピューティング
サービス名 | 概要 |
Amazon EC2 | クラウド内の仮想サーバー |
AWS Auto Scaling | 需要に合わせてコンピューティング性能をスケール |
Amazon Lightsail | 仮想プライベートサーバーを起動および管理 |
AWS Elastic Beanstalk | ウェブアプリケーションを実行および管理 |
AWS Lambda | サーバーに煩わされずにコードを実行 |
ストレージ
サービス名 | 概要 |
Amazon S3 | どこからでも簡単に、お好みの量のデータを取得できるオブジェクトストレージ |
Amazon EBS | EC2 ブロックストレージボリューム |
Amazon EFS | EC2 用フルマネージド型ファイルシステム |
Amazon FSx | 数回クリックするだけで、機能が豊富でパフォーマンスの高いファイルシステムを起動、実行、スケール |
AWS Storage Gateway | ハイブリッドストレージの統合 |
データベース
サービス名 | 概要 |
Amazon RDS | MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、および MariaDB のためのマネージドリレーショナルデータベースサービス |
Amazon Aurora | 高性能のマネードリレーショナルデータベース |
Amazon DynamoDB | マネージド型のNoSQLデータベース |
Amazon Redshift | 高速、シンプル、費用対効果の高いデータウェアハウジングサービス |
Amazon Neptune | フルマネージドグラフデータベースサービス |
Amazon DocumentDB | フルマネージドドキュメントデータベース |
ネットワークとコンテンツ配信
サービス名 | 概要 |
Amazon VPC | 独立したクラウドリソース |
AWS Transit Gateway | VPCとアカウント接続を簡単にスケール |
AWS PrivateLink | AWSでホストされているサービスへのセキュアなアクセス |
Elastic Load Balancing | 複数のターゲットにわたる着信トラフィックの分配 |
Amazon CloudFront | グローバルなコンテンツ配信ネットワーク |
Amazon Route 53 | スケーラブルなドメインネームシステム(DNS) |
AWS Direct Connect | AWSへの専用ネットワーク接続 |
AWS VPN | ネットワークリソースへのセキュアなアクセス |
開発者ツール
サービス名 | 概要 |
AWS CodeDeploy | コードデプロイの自動化 |
AWS CodePipeline | 継続的デリバリーを使用したソフトウェアのリソース |
AWS CodeStar | AWSアプリケーションを開発およびデプロイ |
AWS CLI | AWSのサービスを管理するための統合ツール |
コンテナ
サービス名 | 概要 |
Amazon ECS | コンテナを実行するための安全性、信頼性、および拡張性に優れた方法 |
Amazon EKS | 信頼性の高いKubernetesの実行方法 |
AWS Fargate | コンテナのためのサーバーレスコンピューティング |
クラウドサービスの種類・セキュリティ対応
前出のIaaS、PaaS、SaaSをバランスよくカバーしているAWS。あらゆるクラウドシフトをスムーズに進められる数百にも及ぶサービスが揃っていて、万能型のクラウドサービスです。
セキュリティにもしっかり対応しており、国際的なセキュリティ基準の規格を数多く取得しているほか、アメリカ国防総省の基準にも準拠しています。各国の規制やコンプライアンスにも対応し、情報漏洩や不正行為を未然に防ぐ対策もされています。
利用対象・料金体系・決済方法
大企業から中小企業まで企業向けのサービスもありますが、個人利用も可能です。初期費用はなく、料金体系は利用した時間や通信量などで使った分だけ料金を支払う従量課金制だから、コストパフォーマンスの高い使い方も可能。支払いはUSドル払い、かつ、クレジットカード決済が基本となります。
Microsoft Azure(Azure)
Windows OSのMicrosoftが提供するMicrosoft Azure。シェアの高いOSを展開し、WordやExcelなどの業務アプリケーションで圧倒的な信頼度と知名度があるMicrosoft発のクラウドサービスは、2010年に正式なサービスをスタートしました。
WindowsベースのクラウドであるMicrosoft Azureは当然、Windowsとの親和性が高いことから、オンプレミス環境でWindows Serverベースのサーバーを利用していた企業は移行がしやすいでしょう。また、Windows系の技術に精通したエンジニアには特に扱いやすいクラウドサービスです。
Azureサービス一覧表
コンピューティング
サービス名 | 概要 |
Azure Virtual Machines | LinuxとWindowsの仮想マシンを数秒でプロビジョニングする |
Azure Virtual Machine Scale Sets | 自動スケーリングによって数分で数千台のVMを作成し、高可用性を実現する |
Azure Functions | イベントドリブンのサーバーレスを使用してアプリ開発を加速させる |
Azure App Service | フルマネージドなプラットフォームで、クラウドアプリを迅速に作成する |
ストレージ
サービス名 | 概要 |
Azure Blob Storage | クラウドネイティブのワークロード、アーカイブ、データ レイクなどに適した、スケーラブルで安全なオブジェクトストレージ |
Azure Disk Storage | クリティカルなアプリケーションのための、高パフォーマンスで耐久性のあるブロックストレージ |
Azure Files | サーバーレスのクラウドベースのファイル共有ソリューション |
データベース
サービス名 | 概要 |
Azure SQL Database(Azure Database for MySQL/ for PostgreSQL/ for MariaDB) | 新しいアプリ用の柔軟性、高速性、スケーラビリティを備えたSQLデータベース |
Azure Cosmos DB | 高速で分散型のNoSQLおよびリレーショナルデータベースサービス |
ネットワークとコンテンツ配信
サービス名 | 概要 |
Virtual Network | 仮想マシンから着信VPN接続までのあらゆるものを接続する |
Azure Private Link | Azureプラットフォーム上にホストされたサービスに対するプライベートなアクセス方法 |
Azure Load Balancer | アプリケーションへの入出力接続とリクエストへのバランスを取る |
Application Gateway | Webアプリケーションへのトラフィックを管理する |
Azure Front Door | グローバルなマイクロサービスベースの Webアプリケーション向けに、セキュリティが強化されたスケーラブルな配信ポイント |
Traffic Manager | パフォーマンスと可用性を向上させるために着信トラフィックをルーティングする |
Azure ExpressRoute | 企業ネットワークからクラウドへのプライベート接続を確立する |
Azure VPN Gateway | インターネットを安全に使用してAzureの仮想ネットワークにアクセスする |
Azure CDN | 全世界の顧客に対して高帯域幅のコンテンツを迅速に配信する |
開発者ツール
サービス名 | 概要 |
Azure DevOps | 開発と運用の連携により、ソフトウェアの開発を支援 |
Azure Pipelines | どのようなプラットフォームやクラウドにも継続的にビルド、テスト、デプロイを行う |
SDK | .NET、Java、Node.js、Python、Goなど、好みのプラットフォームに応じた言語固有のSDKとツールをダウンロードし、インストールする |
Visual Studio | Azureでのクラウドベースアプリケーションの開発、デバッグ、展開、管理を簡素化する機能を提供する |
コンテナ
サービス名 | 概要 |
Azure Service Fabric | 常時稼働していてスケーラブルな分散型アプリをデプロイおよび運用する |
Azure Kubernetes Service | マネージドKubernetesでコンテナのデプロイとスケーリングを行う |
Azure Container Instances | ハイパーバイザーの分離を使用してコンテナを起動する |
クラウドサービスの種類・セキュリティ対応
システム開発や運用に役立つ機能を備えていることが特徴で、システム開発時の大容量データ管理機能のほか、仮想マシンや仮想ネットワークの構築機能や、人工知能(AI)を設計できる機能など、エンジニア向けの機能を多数搭載し、PaaSがやや得意だとされています。
また、多くの企業で利用されているクラウドグループウェア(SaaS)のMicrosoft 365や、社員管理にも広く用いられているActive Directory(AD)との連携性の高さも人気の1つでしょう。
セキュリティに関しても多くの国際規格やガイドラインに準拠しています。人工知能(AI)と機械学習を組み合わせた脅威の検出機能を持つなど、セキュリティ機能には定評があります。
利用対象・料金体系・決済方法
法人でも個人でも利用が可能で、料金体系は従量課金制。さまざまなリソースの利用時間や利用量に比例して価格が変動します。クレジットカードやデビットカードでの支払いのほか、事前承認が必要ですが、請求書払いにも対応。支払い代行サービスを提供する企業もあります。
Google Cloud Platform(GCP)
圧倒的なシェアを持つ検索エンジンを筆頭に、YouTube、Gmail、GoogleMapなど、今や世界中の人々の生活に浸透した幅広いクラウドサービスを提供するGoogle。そんなGoogleがGoogle Cloud Platformの提供を開始したのは2008年のことでした。
ビッグデータを解析するプラットフォーム機能を持ち、ほかにもWebアプリケーションの作成・実行・管理などができる機能、機械学習モデルを簡単に構築できる機能などが注目されています。
GCPサービス一覧表
コンピューティング
サービス名 | 概要 |
GCE | Googleデータセンター内で稼働する仮想マシン |
GAE | アプリとバックエンド用のサーバーレスアプリケーションプラットフォーム |
Cloud Functions | 自前のサーバーの設定を必要とせずに、サーバー側でアプリのロジックを記述して実行 |
ストレージ
サービス名 | 概要 |
GCS | 安全で耐久性があり、スケーラブルなオブジェクトストレージ |
Cloud Storage for Firebase | ユーザー作成のコンテンツを保存、配信するためのオブジェクトストレージ |
Filestore | スケーラビリティと安全性に優れたファイルストレージ |
Persistent Disk | Google Cloudで動作する、仮想マシンインスタンスのためのブロックストレージ |
データベース
サービス名 | 概要 |
Cloud SQL | MySQL、PostgreSQL、SQL Server用のフルマネージドデータベースサービス |
Cloud Bigtable | クラウドネイティブのワイドカラム型データベース |
Firestore | 充実したモバイルアプリ、ウェブアプリ、IoTアプリを構築するための、クラウドネイティブなドキュメントデータベース |
ネットワークとコンテンツ配信
サービス名 | 概要 |
Virtual Private Cloud | Google Cloudリソースとクラウドベースサービス用の仮想ネットワーク |
Private Service Connect | VPCとサービス間の接続を保護 |
Cloud CDN | ウェブおよび動画コンテンツを提供するためのコンテンツ配信ネットワーク |
Cloud DNS | 信頼性の高いドメインネームシステム(DNS)を提供する |
開発者ツール
サービス名 | 概要 |
Cloud Build | 継続的インテグレーションと継続的デリバリーのためのプラットフォーム |
Cloud Deploy | Google Kuberbetes Engineに対する、フルマネージドの継続的デリバリー |
Cloud SDK | Google Cloudのサービスをコマンドラインから操作するためのツールセットとライブラリ |
コンテナ
サービス名 | 概要 |
Cloud Build | Dockerコンテナでビルドステップを実行するためのソリューション |
Google Kubernetes Engine | コンテナ化アプリを運用するためのマネージド環境 |
Knative | Kuberbetesネイティブのクラウドベースソフトウェアを作成するためのコンポーネント |
Artifact Registry | コンテナイメージと言語パッケージを保存、管理、保護 |
Cloud Run | コンテナ化アプリを実行するためのフルマネージド環境 |
クラウドサービスの種類・セキュリティ対応
膨大なデータを対象にした高速な検索処理や、ユーザーの属性や履歴などに応じた最適な広告の提示など、Googleが自社サービスで培った技術やノウハウが生かされたサービスに強みがあるGCP。データ解析に適した環境が自動で用意された上で、ビッグデータ解析や機械学習などAI分野のサービスが利用できるので、こういった最先端技術に力を入れたい場合、GCPは有力な選択肢になります。
セキュリティについては、取り組んでいる対策として社内の運用・教育体制やセキュリティ技術、データ管理体制などをまとめた「Google security whitepaper(Google のセキュリティに関するホワイトペーパー)」を公開しています。
利用対象・料金体系・決済方法
法人はもちろん、個人利用にも対応。利用料金は使った分だけ支払う従量課金制です。Googleとの直接契約の場合はクレジットによる支払い、パートナー企業との契約であれば請求書で支払うこともできます。
その他の注目クラウドサービス
シェア比較の図にあるとおり、Next 20 Companiesのシェアが昨年度から最も上昇しています。なかでも注目されている以下2つのクラウドサービスを紹介します。
- Alibaba Cloud
- IBM Cloud
Alibaba Cloud
Alibaba Cloudは、中国の大手企業アリババグループが提供するクラウドサービスです。
本社はシンガポールに置かれ、日本における運営は日本企業であるSBクラウドが行っています。そのため、日本国内の法律に準拠した運用が行われており、他国へデータが送られてしまう懸念はありません。
また、Alibaba Cloudでは、中国でWebサイトを展開する際に必要なライセンスの取得の申請代行を提供しています。中国市場への進出を検討している場合、障壁となる問題を解消できる点が大きな強みです。
IBM Cloud
IBM Cloudは、グローバルにITサービスを展開するIBM社が提供するクラウドサービスです。
IBM Cloudが選ばれる主な理由として、ほかの大手クラウドサービスよりも低価格でのサービス提供が可能なことが挙げられます。
コスト削減に優れたクラウドサービスを求めるユーザーにとって、IBM Cloudは魅力的な選択肢となるでしょう。
~まとめ~最適なクラウドサービスとパートナー企業を見つけよう
3大クラウドの違いを比較してご紹介しました。それぞれに異なる点や得意分野があることが分かったかと思います。
自社のクラウドシフトに最適なクラウドサービスのイメージはつきましたでしょうか?
とはいえ、クラウドは変化が激しいため最新動向のキャッチアップは難しく、複数のシステムがある場合、それぞれのシステムに適したクラウドサービスが異なって、1つに決められないことも考えられます。クラウドサービスを併用するという解決策(マルチクラウド)もありますが、クラウドシフトがより複雑になり、運用にも影響が出る恐れがあります。
そんなお悩みや不安をクリアにするのが、クラウド上へのシステムの移行・構築・運用をサポートする各クラウドサービスのパートナー企業です。パートナー企業に対し、自社がクラウド化に求めることを共有し、理想を叶えるためのサービスの比較・選択から相談していくのが効果的だと言えます。
また、より良いインフラ・システム環境はクラウドだけで完結することはなく、オンプレミスとの連携も必要になります。企業のサーバー・ネットワーク・システムをトータルに捉えることのできるパートナー企業を探すことが大切です。
自社の事業を加速するクラウド化、ひいては、企業内のIT環境最適化のために、確かな技術を持ったパートナー企業を見つけましょう。
<クラウドの導入を検討されているみなさまへ>
クラウド移行のタイミングや進め方にお悩みを抱えていませんか?自社のシステム運用に最適な環境をお探しではありませんか?
一気にクラウド化を進めたほうがいいのか、または、オンプレミスとクラウドのハイブリッドという形も考えられるでしょう。
新潟県初のAWSパートナー企業であり、クラウドとオンプレミスの両方の運用を長年手掛け、かつ、Webシステム開発の部門も有する当社が、クラウド活用のお悩みを解決します。まずは、お気軽にお問い合わせください。