サーバーとは?PCとの違いやサーバーの種類・特徴について徹底解説
2024.07.31(水)
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サーバーはデジタル時代の根幹をなす存在であり、私たちの日常生活からビジネスの現場に至るまで、幅広い場面で不可欠な役割を果たしています。しかし、サーバーと一口に言っても、その種類や機能、設置場所によって多岐にわたり、選択肢は無数に存在します。
本記事では、サーバーとは何か、PCとの違い、サーバーがビジネスにどのような利益をもたらすのか、そしてサーバーの種類や特徴について徹底的に解説します。また、サーバー構築と運用のポイント、セキュリティ対策の重要性にも触れ、用途に応じた適切なサーバーの選び方をアドバイスします。
この記事を通じて、サーバーの世界が一層身近に感じられるようになるでしょう。
サーバーとは何か
サーバーとは、インターネットやネットワークを通じてデータやサービスを提供するコンピューターシステムのことです。ウェブページのホスティング、メールの送受信、オンラインゲームの環境提供、ファイル共有、データベースアクセスなどが含まれます。
サーバーとPCの違い
サーバーとパーソナルコンピュータ(PC)は、外見は似ていますが、役割と性能において大きな違いがあります。
サーバーは、インターネットやネットワークを介してデータやサービスを多くのユーザーに提供するためのシステムです。たとえば、ウェブサイトのデータを保存し、誰かがそのウェブサイトを訪れたときに情報を送信します。サーバーは多数のリクエストを同時に処理できるように設計されており、24時間365日の連続的な稼働と高い信頼性が求められます。
一方、PCは個人使用のために使われ、文書作成、インターネット閲覧、ゲームなどさまざまな用途に対応しています。ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズが可能です。サーバーよりも、ハードウェアやソフトウェアのアップグレードが頻繁に行われることが一般的です。
上記以外のサーバーとPCの違いは、以下のとおりです。
項目 |
サーバー |
パーソナルコンピュータ(PC) |
ハードウェアの差 |
・耐久性や安定稼働を獲得できるように特化したハードウェアが必要。 |
・個人使用を前提としているため、サーバーほどの耐久性や安定稼働は必要ない。 |
ソフトウェアとOSの違い |
・LinuxなどサーバーOSを使用する。 |
・WindowsやMacOSなどのクライアントOSを使用する。 |
ネットワーク接続と通信能力の比較 |
・複数のユーザーからのリクエストに高速かつ同時に応答することが前提。 |
・個人使用のため、サーバーほどのネットワーク接続能力は必要ない。 |
セキュリティ対策の差異 |
・企業の重要なデータを集中して保存するため、データの保護やバックアップ対策、アクセス制御が厳格に実施される。 |
・個々にセキュリティソフトの導入、定期的なアップデート、強固なパスワードポリシーの適用が行われる。 |
なぜサーバーが必要なのか
ここからは、サーバーの重要性について解説します。サーバーはビジネスにおいて非常に重要な役割を果たし、さまざまな利益をもたらします。
ビジネスデータの一元管理
サーバーを利用することで、企業は顧客情報、財務記録、従業員データなどの重要なデータを一箇所で管理できます。これにより、データの整合性を保ち、必要なときにデータへ素早くアクセスできるほか、安全にバックアップを取ることも可能です。
ランニングコストの削減
サーバーを適切に管理することは、ITインフラの維持にかかる費用を大幅に削減する鍵となります。具体的には、サーバーの効率的な運用により、ハードウェアの無駄な重複購入を防ぐことができます。
スケーラビリティの確保
ビジネスの成長に伴い、ユーザー数や扱うデータ量、ウェブサイトへのアクセス数が増加するため、サーバーの拡張性が重要です。スケーラビリティを確保することで、ビジネスの成長や需要の変動に合わせて、サーバーの性能を向上させたり、追加のリソースを配備したりできます。これにより、企業は変化するビジネスニーズに迅速に対応できるようになるでしょう。
競争力の向上
サーバーを活用することで、顧客に高速かつ安定したサービスを提供できます。例えば、ウェブサイトの高速な読み込みやオンラインショップのスムーズな動作は、顧客満足度を向上させる重要な要素です。これにより、企業はサービスの品質を向上させ、競合他社との差別化を図れます。結果として、企業の市場における地位が強化され、競争力の向上につながります。
セキュリティの強化
サーバーを使ってビジネスを行う際、セキュリティは非常に重要です。セキュリティが強化されたサーバー環境を構築することで、サイバー攻撃から企業の大切なデータを守れます。顧客情報の漏えいやビジネス上の重要な情報が外部に出るリスクが低減されることで、企業の信頼性も高まるでしょう。
サーバーの種類と特徴
ここからは、各サーバーの種類と主な特徴について解説していきます。
サーバーの種類
サーバーの種類 |
説明 |
Webサーバー |
インターネット上でウェブページを提供し、HTMLファイルや画像などの静的コンテンツを送信。 |
アプリケーションサーバー |
ビジネスロジックやデータ処理を実行し、ウェブアプリケーションや企業内アプリケーションの動作環境を提供。 |
データベース(DB)サーバー |
大量のデータを管理・検索し、アプリケーションからのクエリに応答して情報を提供。 |
メールサーバー |
電子メールの送受信を管理し、メールの送信要求を受け取り、宛先のサーバーへ転送、受信メールをボックスに格納。 |
FTPサーバー |
ファイルのアップロードやダウンロードを行い、ウェブサイトのコンテンツ更新などに利用。 |
DNSサーバー |
ドメイン名をIPアドレスに変換し、ユーザーがドメイン名でウェブサイトにアクセスが可能。 |
サーバーの設置場所による違い

サーバーの主な提供形態とそれぞれの概要を説明します。
サーバーの提供形態 |
概要 |
物理サーバー(専用) |
1台のサーバーを1ユーザーが独占的に使用できる。ユーザーはハードウェアの全リソースを専有し、サーバーの設定や管理に関して高い自由度を持つ。 |
仮想サーバー(クラウドサーバー) |
1台の物理サーバーを論理的に複数のサーバーに分割したもの。リソース(CPU、メモリ、ストレージなど)はリアルタイムで追加・削減できる。 |
仮想サーバー(VPS) |
1台の物理サーバーを論理的に分割して、複数のユーザーで共有する。専用サーバーのような自由度の高い環境を低価格で導入できる。 |
共有サーバー |
1台のサーバーを複数のユーザーで共有する。コストは安価だが、他ユーザーによってパフォーマンスに影響を受ける場合がある。 |
サーバーの形状の違い
サーバーの形状は、以下3つの種類に分類できます。
サーバーの形状 |
特徴 |
タワー型 |
独立型の筐体で、一般的なデスクトップPCに似ている。小規模オフィスやワークグループ向けで、拡張性が高い反面、スペースを多く必要とする。 |
ラック型 |
薄型の筐体を備え、専用のラックに複数台積み重ねる形で設置。スペース効率が良く、大量のサーバーを一箇所に集約できます。冷却や電源管理が容易。 |
ブレード型 |
ラック内に収納する超薄型のサーバーで、複数のブレードサーバーを1つの筐体(シャーシ)に収め、電源や冷却システムを共有。高密度にサーバーを配置でき、管理が容易。 |
サーバー構築と運用のポイント

ここからは、サーバー構築と運用のポイントについて解説します。
サーバー構築する際の基本知識
サーバーを構築するには、計画的な準備と基本的な技術知識が必要です。以下のポイントを考慮しながら実施しましょう。
サーバー構築の目的を明確化
まず、サーバーの目的を明確にし、提供するサービスの種類(ウェブホスティング、データベース管理、メールサービスなど)にもとづいて、適切なハードウェアとソフトウェアを選択する必要があります。また、将来の成長や拡張を見越したスケーラビリティを持たせることが大切です。
サーバーのセットアップ
OSのインストールから始め、必要なアプリケーションの設定、ネットワークの構成まで、サーバーの初期設定を行います。
サーバーのセキュリティと復旧計画
セキュリティ対策は非常に重要であり、ファイアウォールの設定、アップデートの適用、アクセス権限の厳格な管理を怠らないことが求められます。また、データのバックアップと災害復旧計画の準備も、運用開始前に確認しておくべき重要なポイントです。
サーバー管理と維持のコツ
サーバーの管理と維持は、ビジネスのITインフラを安定して運用する上で非常に重要となります。このプロセスを効果的に行うためのポイントは以下のとおりです。
定期的な監視とメンテナンス
サーバーのシステムパフォーマンスを常に監視し、問題が発生する前に予防的な対策を講じることが重要です。
ソフトウェアのアップデート
技術の進化に伴い、OSやソフトウェアを更新することが重要です。定期的なソフトウェア更新は、セキュリティを強化するだけではなく、使いやすさと効率性を維持するために欠かせません。
データの保護
データはビジネスの貴重な資産であるため、定期的なバックアップを実施し、災害やシステム障害から迅速に回復できるよう準備しておくことが必要です。
管理ツールと自動化の活用
効率的なサーバー管理のためには、適切な管理ツールや自動化技術の活用が推奨されます。これらのツールを使用することで、手作業によるエラーを減らし、時間とリソースを節約できます。
セキュリティ対策も重要
サーバーのセキュリティ対策は、ビジネスのデジタル資産を保護するために欠かせない要素です。不正アクセス、データ漏えい、サイバー攻撃などの脅威からサーバーを守るためには、いくつかの基本的な対策を講じる必要があります。
パスワードの設定
強力なパスワードの使用は基本中の基本です。簡単に推測されるパスワードは、攻撃者にとって簡単な入り口となってしまいます。
ファイアウォールとウイルス対策ソフトの導入
ファイアウォールとウイルス対策ソフトを適用することで、不正なアクセスやマルウェアからサーバーを守ります。
セキュリティパッチのインストール
セキュリティパッチは定期的にインストールする必要があります。ソフトウェアの脆弱性は常に発見されており、放置すると攻撃者に利用されるリスクが高まります。
ネットワークの監視と侵入検知システムの設置
ネットワークの監視と侵入検知システム(IDS)の設置により、異常な通信や不審な活動を早期に発見し、対処することが可能です。
用途に応じてサーバーを選びましょう

サーバーはさまざまな方法で所有できますが、使用目的だけではなく、コストや稼働後の運用なども考慮して選ぶことが重要です。大まかに分けると、自社でサーバーを保有するか、物理サーバーかクラウドを利用するかで決定します。
サーバーの選定時には、以下の観点を考慮すると良いでしょう。
- パフォーマンス要件
- 予算とコスト
- セキュリティ要件
- 拡張性
- 既存の IT インフラ、ソフトウェア、データベースとの互換性
- サポート体制
サーバースペックや運用環境にこだわりたい:自社サーバー
自社サーバーは、サーバースペックや運用環境へのこだわりがある場合に適しています。オンプレミスと呼ばれるこの方法は、完全なコントロールとカスタマイズの自由度を提供しますが、サーバーの購入費用や運用コスト、物理的な設置場所が必要です。
設置場所やリソースが制約されている場合、ハウジングサービスが選択肢となります。自社で購入したサーバーを事業者のデータセンターに設置し、セキュリティやインフラの恩恵を享受しつつ、サーバーの設置や運用に関わる負担を軽減できます。
アクセス高負荷のサイトを柔軟に運用したい:クラウドサーバー
クラウドサーバーは、インターネットを通じてクラウド上に構築された仮想サーバーです。
初期コストを削減できるほか、リソースの柔軟な調整が可能です。アクセスが急増した場合でも、追加リソースを即座に割り当てることができるため、特に大規模サイトの運営に適しています。実際に使用したリソースに対してのみ費用が発生する従量課金制が一般的です。
性能とコストのバランスを取りたい:VPSサーバー
VPSは、仮想化技術を使用して1つの物理サーバーを複数の独立したサーバーに分割するサービスです。VPSは共用サーバーと比べて高いパフォーマンスとセキュリティを提供しますが、専用サーバーほどの高額な費用はかかりません。中規模サイトで、機能や性能とコストのバランスを重視する場合に適しています。
小規模サイトでコストを抑えたい:ホスティングサーバー
小規模サイトや初心者の場合には、ホスティングサーバーを利用するのが最適です。ホスティングサーバーはレンタルサーバーとも呼ばれ、月額料金で必要なサーバーリソースを借りることができ、24時間365日のサポートが付いています。自由度が低い点はデメリットですが、コストを抑えたい場合には有効な選択肢です。
まとめ~用途にあわせたサーバー選びが重要~
この記事では、サーバーの基礎知識からPCとの違い、ビジネスにおける重要性、サーバーの種類とその特性について詳しく解説しました。
サーバーは、デジタル時代における情報社会の基盤を形成し、ビジネス運営から日常生活に至るまで幅広く活用されています。アプリケーションサーバー、 Web サーバー、データベースサーバーなど、さまざまな種類のサーバーが存在するため、用途や機能に応じて選択することが重要です。また、サーバーの構築に際しては、セキュリティや将来のスケーラビリティを考慮する必要があります。サーバーに関する知識を深めることで、適切なITインフラの選択と管理が可能となり、ビジネスの効率化と成長を支える一助となるでしょう。
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