企業がデジタル化を導入するメリット・デメリット|活用事例も紹介
2024.08.27(火)
- Webシステム
- クラウド
近年、さまざまな業界の企業でデジタル化が進められています。
デジタル化を導入すると、業務の効率化・生産性の向上などのメリットが得られます。
しかし、導入を検討していても、どのように進めていけばよいのか迷う方もいるでしょう。
本記事では、デジタル化のメリット・デメリットや具体的なプロセスを紹介します。
デジタル化とは
デジタル化とは、情報やデータをアナログから電子的な形式に変換し、コンピューターやネットワークなどを用いて利用することです。例えば、紙の書類をスキャンしてパソコンやサーバーに保管して活用します。
また、デジタル化にはツールやシステムなどを導入して、業務の効率化やコスト削減などの業務改革につなげることも含まれます。社内外に対して新たな価値を提供できるようになり、企業の成長を実現できます。
デジタル化とDXの違い
デジタル化を検討する際に、DXと混合される方もいるでしょう。
DXはDigital Transformation (デジタルトランスフォーメーション)の略語です。デジタル化はアナログをデジタルに変換する概念ですが、DXはツールやシステムなどのデジタル技術を導入して、新たなビジネスの価値や形態を生み出すことを指します。
DXの具体例としては、実店舗で食品を販売している企業が、インターネットを活用して通信販売を開始することが挙げられます。新たな収益モデルが確立され、自宅にいながら好きなものを購入できるという価値の提供が可能になりました。
注目される背景
デジタル化が注目されるようになった背景には、以下の2点が挙げられます。
- 2025年の崖
- 労働人口の減少
2025年の崖とは、2018年に経済産業省が発表したDXレポートで提示されたDX推進に向けた警告です。DXが進まない企業は2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると予測されています。
具体的に、既存システムのブラックボックス化によってデータが活用できなかったり、サーバーセキュリティや事故などによるデータ滅失・流出などのリスクが高まったりします。
また、日本では高齢化が進んでおり、今後労働人口が減少する傾向にあります。企業の規模にかかわらず人手不足に陥る可能性があるため、解消する方法の一つとしてデジタル化が注目されています。
デジタル化によって業務の効率化を実現できれば、今いる従業員のみでも円滑に業務を進めやすくなります。
デジタル化がもたらすメリット
デジタル化を実施すると、以下のようなさまざまなメリットを期待できます。メリットを把握すれば、デジタル化を導入する目的の明確化が可能です。
デジタル化がもたらす主なメリットは以下のとおりです。
- 業務の効率化・生産性の向上ができる
- コスト削減につながる
- スムーズな手続きができる
- データの活用がしやすくなる
- 情報共有の簡素化で多様な働き方に対応できる
- BCP対策ができる
- 顧客満足度につながる
順番に見ていきましょう。
業務の効率化・生産性の向上ができる
デジタル化の大きなメリットは業務の効率化・生産性の向上です。
デジタル化すればオンライン上での業務や、データ管理が可能になります。作業の簡略化によって業務を実施するスピードが高まり、作業時間を短縮できます。
普段よりも時間を有効活用しやすくなるため、業務の幅を広げたり、他の業務にリソースを割いたりすることが可能になります。
また、デジタル化によって業務の自動化を実現すれば、ヒューマンエラーの削減につながります。手作業での確認作業よりも精度を高められるため、生産性の向上が可能です。
さらにデジタル化すると業務を誰が対応しても同様の結果を得られるようになり、担当者の属人化を排除できます。
コスト削減につながる
デジタル化による業務効率化は、労働時間の短縮につながります。長時間労働の是正や人手不足の解消ができるため、人件費の削減が可能です。
また、デジタル化すると紙で管理しているデータをオンライン上で保管・管理できます。書類が不要になるため、紙代・印刷代・書類の郵送費などのコストを削減できます。
デジタル化によるコスト削減は、企業の規模が大きいほど実感しやすくなります。浮いたコストを有効活用すれば、事業投資や設備投資などを実施可能です。
スムーズな手続きができる
デジタル化を導入すると、オンライン上で業務の手続きが可能です。
例えば、デジタル化した書類の提出、見積書・契約書などの捺印をインターネット経由で行えます。
書類を提出するための出社や顧客への郵送などが不要になり、手続きにかかる手間を削減可能です。さらにデジタル化は業務フローの改善につながるため、組織全体の意思決定の速度を向上できます。
データの活用がしやすくなる
デジタル化を実施すると、業務データがオンライン上に蓄積されます。蓄積したデータを活用すればあらゆる分析を行えるため、業務の改善や新たなアイデアの発見などが可能です。
例えば、デジタル化によってオンライン上に商品・サービスの購買履歴が蓄積されると、購入者の顧客データを可視化できます。顧客分析が容易に行えるようになり、マーケティング戦略の立案や新製品の開発などに活用が可能です。
デジタル化に機械学習やAIなどを活用すると、高度な分析やスピーディな分析を実現しやすくなります。
情報共有の簡素化で多様な働き方に対応できる
多様な働き方への対応もデジタル化のメリットの一つです。代表例にはリモートワークや在宅勤務などが挙げられます。
デジタル化によってデータをオンライン上で管理すると、リアルタイムでの情報共有・素早い情報の取得などが可能です。さらに、場所を問わずコミュニケーションが取れたり、会議を実施したりできます。
従業員が会社に出社する必要がなくなり、遠方にいても仕事ができます。多様な働き方を実現できるため、育児や介護などによる離職の防止や新たな人材の確保などの効果が見込めます。
BCP対策ができる
BCP対策ができることもデジタル化のメリットです。
デジタル化せずにデータを紙で管理している場合、被災すると書類を失う可能性があります。事業が継続できなくなり、損失が拡大してしまいます。
しかし、クラウドサービスを活用してデジタル化すると、データをオンライン上で管理可能です。企業が自然災害・火災などに見舞われても、企業の大切な情報資産を守れます。
また、万が一パソコンやサーバーなどが破損しても、バックアップからデータを復旧できます。デジタル化によってBCP対策ができれば、事業を継続しやすくなります。
顧客満足度につながる
デジタル化は、社内だけでなく社外に対してもメリットがあります。業務の効率化や生産性が向上すると、社外に対してよりよいサービスを提供できます。
例えば、WebサイトにAIチャットボットを導入すれば、顧客からの問い合わせ業務の効率化をすることが可能です。顧客側は質問に対して素早く回答を得られるため、満足度が向上します。
顧客満足度が高まると顧客からの信頼獲得にもつながり、組織の成長を実現可能です。
デジタル化するデメリット
デジタル化はメリットだけでなく、デメリットもあります。デジタル化を導入するなら、デメリットを把握したうえで行いましょう。
デジタル化の主なデメリットは以下のとおりです。
- 導入にコストがかかる
- 検討に時間がかかる可能性がある
- IT人材が必要になる
- セキュリティ対策が欠かせない
それぞれ参考にしてみてください。
導入にコストがかかる
デジタル化のためにツールやシステムを導入するとコストがかかります。導入するツールやシステムによりますが、基本的に初期費用と月額費用が必要です。
例えばシステムを導入する場合、サーバーやストレージなどのインフラ設備費、システム開発費などが必要です。システムの規模が大きくなるほど、初期費用や月額費用が高額になります。
デジタル化の導入コストは決して安くありませんが、長期的な視点を持つとプラスになる可能性が高くなります。
また、クラウドサービスを活用すると自社で設備を用意する必要がないため、初期費用や月額費用を抑えることが可能です。
検討に時間がかかる可能性がある
デジタル化のデメリットの一つが検討に時間がかかる可能性があることです。
デジタル化をするには、自社の目的・課題の洗い出し、ツールの選定、導入作業など、するべきことが多岐にわたります。目的が明確になっていないと、何から検討すればよいのか迷いやすくなります。
デジタル化を思い立ってもなかなか導入を進められず、検討に時間がかかる原因になるでしょう。デジタル化を実施するなら、余裕を持ったスケジュールを計画する必要があります。
IT人材の必要性が高まる
デジタル化をするなら、ITの知見がある人材がいたほうが安心です。IT人材がいることで、課題の分析や効果的なデジタル化の検討が進みやすくなります。
さらに、ツールやシステムの開発・利用には多少の専門知識が必要です。ITに詳しい人がいることでツールやシステムの導入後も、スムーズに業務で活用することができるので、デジタル化を進める際は、社内のIT人材を確保できるとよいでしょう。
自社のみで対応するのが難しいなら、外部の専門業者を活用するのも一つの方法です。
デジタル化・システム開発の実績が豊富な企業に相談することで、社内にIT人材がいなくても、デジタル化を進めることができます。
セキュリティ対策が欠かせない
デジタル化をする際は、並行してセキュリティ対策が必要です。データをオンライン上に保管するため、外部から狙われるリスクが発生します。
セキュリティ対策が十分でないと、データの改ざんや情報漏洩などが起こる可能性があります。セキュリティ事故が発生すると、最悪の場合、復旧するまで事業が停止する恐れがあるほか、企業の信頼低下になりかねません。
デジタル化を機に、社内のネットワーク環境やセキュリティ対策ソフトの導入、アクセス権限の設定などを見直して、セキュリティリスクを抑えるように対策をしましょう。
デジタル化する際のプロセス
続いて、デジタル化する際のプロセスを見ていきましょう。具体的なプロセスを把握すれば、スムーズに導入を進められます。
- 目的・課題を洗い出す
- 対象の業務を決める
- ツール・システムを選定する
- 効果測定する
それぞれ参考にしてみてください。
目的・課題を洗い出す
デジタル化するなら、目的・課題の洗い出しが欠かせません。なぜデジタル化を導入するのかを明確にすると、効果的な施策を検討・実行しやすくなります。
目的・課題は、できる限り具体的に設定する必要があります。曖昧な状態だと、ゴールと解決策がずれてしまうため効果を期待できません。
現場の意見をヒアリングして、自社の目的・課題を明確にしましょう。
対象の業務を決める
デジタル化は業務によって施策が異なります。デジタル化できそうな業務を洗い出してから、対象を決める必要があります。優先順位をつけると、スムーズにデジタル化を進めることが可能です。
ツール・システムを選定する
事前に決めた目的・課題に応じて、導入するツールやシステムを選定しましょう。自社に合うものを選定できると、期待する効果を得やすくなります。
一例ですが、以下の項目を比較してツール・システムを選定してみてください。
- 価格
- サービス内容
- 使いやすさ
- サポート体制
- セキュリティ体制
効果測定する
デジタル化はツール・システムを導入して終わりではありません。導入後は効果を測定をして、期待する成果が出ているか確認します。
期待する成果が出ていれば、継続してデジタル化に取り組みましょう。成果が出ていない場合は、現状分析をして改善につなげます。
デジタル化を成功に導くポイント
デジタル化を成功に導くなら、以下のポイントを意識しましょう。
- 現場からの理解を得る
- 現場の意見を把握する
- 専門家に相談する
上記を意識すれば、デジタル化の効果を得やすくなります。
現場からの理解を得る
デジタル化を進めるには、実際に業務を行う現場からの理解が不可欠です。デジタル化の目的や必要性などが共有されていない状態では、導入したツールやシステムの効果を十分に発揮できない可能性があります。
デジタル化する際は、現場に対して目的や必要性を説明をして、十分な理解を得るようにしましょう。現場の理解を得ると組織全体が同じ意識を持てるため、スムーズに導入できます。
また、現場の声を反映したツールやシステムを採用することで、導入後の定着や活用が進められるでしょう。
現場の意見を把握する
デジタル化しても現場で活用してもらえなければ導入した意味がありません。現場の意見を反映すると、自社のニーズ・課題に合わせて効果的なツールやシステムの導入ができます。
デジタル化を検討する際は、各部署で感じている課題を確認しましょう。課題に対して最適な解決策を実行すれば、期待する効果を得やすくなります。
また、デジタル化は導入して終わりではありません。導入後も定期的に現場の意見をヒアリングして改善につなげていきましょう。
専門家に相談する
初めてデジタル化を進める場合、何から始めたらよいか分からないといった不安もあることでしょう。自社だけで対応するのが難しいなら、頼りになるパートナーに相談するのが効果的です。デジタル化の経験が豊富なスタッフのサポートを受けられるため、スムーズにデジタル化が実現します。
どのような目的で、何の業務を、どうしていきたいのかが決まれば、ITやシステム開発を得意とする企業を探して、問い合わせてみることをおすすめします。
なおグローバルネットコアでは、インフラサービスやWebソリューションなどを提供しています。お客様のニーズに寄り添い、デジタル化の導入、運用保守まで一貫して対応が可能です。企業のデジタル化をサポートしているため、お気軽にご相談ください。
デジタル化の活用事例
最後にデジタル化の活用事例を「業務別」「業界別」に紹介します。
業務別
業務別のデジタル化の活用事例を見ていきましょう。
ビジネスチャットツールの導入
ビジネスチャットツールは、ビジネスで利用するチャットツールです。ビジネスチャットツールには、SlackやChatworkなどのサービスがあります。メールよりも手軽にコミュニケーションが取れることが特徴です。
個別のやり取りはもちろん、テーマ別にグループを作成してコミュニケーションを取ることもできます。チャット内にメッセージ・画像・資料などを残せるため、スムーズな情報共有が可能です。
Web会議ツールの導入
Web会議ツールは、オンライン上で会議を開催できるツールです。具体的なツールには、ZoomやMicrosoft Teamsなどがあります。
従来は会議をするために、会社に出社する必要がありました。しかし、Web会議ツールを利用すると、場所を問わず会議を開催できます。会議室を確保する手間や移動する時間などの削減につながります。
また、従来であれば対面での会議が一般的だったため、近隣エリアの企業が営業活動のターゲットでした。Web会議ツールを活用すれば、移動しなくて済むことから遠方の顧客に対して営業のアプローチをかけられます。
クラウドサービスの導入
クラウドサービスとはインターネット経由でサービスを提供する形態です。必要に応じてITインフラやソフトウェアなどを利用できます。
クラウドサービスのメリットは、場所に関係なく情報にアクセスできることです。インターネットに接続できる環境があれば、社外からの利用ができるため、テレワークの推進に活用できます。
また、クラウドサービスは自社でITインフラやソフトウェアを用意する必要がありません。導入までの期間短縮につながり、スムーズに利用を開始できます。
電子契約システムの導入
電子契約システムは、オンライン上で契約を締結できるサービスです。契約書の作成から署名までをすべてオンラインで完結できるため、場所を問わず手続きの対応ができます。そのため、紙で契約手続きをするよりも時間の短縮につながります。
また、紙の契約書の提出が不要であり、印刷・郵送などの手間やコストの削減が可能です。企業のペーパーレス化を実現するツールとしても注目されています。
業界別
業界別のデジタル化の活用事例を見ていきましょう。
製造業
製造業のデジタル化の事例には、工場でのロボット活用が挙げられます。人が対応していた作業をロボットに置き換えると自動化ができます。人が対応する業務を減らせるため、人手不足の解消につながります。
また、ロボットによる作業はヒューマンエラーを削減でき、生産品の品質管理・生産性の向上が可能です。
金融業
金融業にもデジタル化が導入されています。具体例として、インターネット上で銀行のサービスを提供する「デジタルバンク」が挙げられます。
従来であれば、送金をするには窓口・ATMに行く必要がありましたが、デジタルバンクの導入によってスマートフォンから送金できるようになりました。
銀行窓口の業務負担の削減ができるため、長時間労働の是正につながります。
物流業
物流業界でもデジタル化が進んでいます。
AIを活用して道路状況・天候・事故情報などの分析ができれば、最適な配送ルートを導くことが可能です。スムーズな配送を行えるようになり、配送時間の短縮につながります。
ドライバーの業務効率化に加えて、顧客満足度の向上や二酸化炭素の排出量の削減を実現できます。
まとめ~デジタル化で業務課題を解決~
デジタル化とは、アナログをデジタルに変換することです。デジタル化を導入すると、業務効率化・コスト削減などにつながります。
しかし、デジタル化を進めるには自社が抱える課題・問題などを明確にして、最適な解決策を選定しなければなりません。
グローバルネットコアでは、企業のデジタル化をサポートしています。インフラサービスやWebソリューションを提案から運用保守まで一貫して対応し、お客様のニーズに寄り添って最適なプランを提案します。
デジタル化で悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。
デジタル化を検討している企業のみなさまへ
業務のデジタル化は、これからのビジネスに欠かせない取り組みのひとつです。ただ、分かってはいても、なかなか踏み出せないのもデジタル化です。
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