AWS活用で手軽に導入!サーバー構築の始め方

2025.12.12(金)

  • クラウド
AWS活用で手軽に導入!サーバー構築の始め方

「サーバー構築」は、ITインフラの基盤を整えるうえで欠かせない工程です。
特に近年では、AWSなどのクラウドサービスを活用することで、従来よりも手軽かつ柔軟に構築できるようになってきました。
2025年現在、国内企業の多くがクラウド環境への移行を進めており、サーバー構築はオンプレミス中心からクラウドベースへの転換が急速に進んでいます。

この記事では、サーバー構築の始め方を基礎からわかりやすく解説し、特にAWSを活用した構築手順や注意点についてご紹介していきます。

サーバー構築とは何か?基礎知識を理解する

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サーバーの役割と種類(Web/DB/アプリケーション)

企業の業務において、サーバーは情報や処理を集中的に管理・提供する中核的な存在です。
個人のPCやスマートフォンなどの「クライアント」が、ネットワークを通じてサーバーにアクセスし、必要なデータを取得したり、処理を依頼したりする構造になっています。
用途に応じてサーバーにはさまざまな種類があり、代表的なものとして以下が挙げられます。

Webサーバー

WebサイトのHTMLや画像データなどをクライアントに配信するサーバー。ApacheやNginxなどがよく使われます。

データベース(DB)サーバー

商品情報や顧客情報などのデータを一元管理し、必要に応じて他のアプリケーションに提供します。MySQL、SQL Server、Oracleなどが代表的です。

アプリケーションサーバー

業務システムやWebサービスのロジック部分を処理します。WebサーバーやDBサーバーと連携しながら、ユーザーの操作に応じた動作を実現します。

このように、用途に合わせて複数のサーバーが連携し、システム全体を構成していくのが一般的です。特に近年では、これらの役割をクラウド上で動かすケースも増加しています。

オンプレミスとクラウドの違いとは

サーバー構築には大きく分けて「オンプレミス(自社内設置型)」と「クラウド型」の2つの方式があります。それぞれの特徴を理解しておくことが、適切な導入判断に役立ちます。

オンプレミス(On-Premises)とは、自社内にサーバー機器やネットワークを設置して運用する方式です。
構築自由度が高く、既存のシステムとの連携もしやすい反面、サーバー機器の設置・保守・電源管理・冷却対策など、すべての設備運用を自社で担う必要があり、情報システム担当者への負担が非常に大きくなる傾向があります。
特に中小企業では人的リソースに限りがあるため、この運用負荷は大きな課題となっていました。

一方、クラウド(Cloud)とは、インターネット経由でサーバーやストレージなどを利用できるサービス形態を指します。
代表的なクラウドサービスとしてはAWS(Amazon Web Services)があり、従量課金制で必要な分だけリソースを使えるのが特徴です。
初期コストを抑えられ、運用管理もある一定の範囲でサービス提供者に任せられるため、近年ではクラウドを活用したサーバー構築が主流となりつつあります。

特にAWSでは、Webサーバー、DBサーバー、アプリケーションサーバーといった機能を個別に構築・管理できるほか、スケールアップ/ダウンの自由度も高く、システムの成長に合わせた柔軟な対応が可能です。

企業のIT戦略や業務要件に応じて、オンプレミスとクラウドのどちらを選択するか、あるいはハイブリッドで構成するかの判断が求められます。

サーバー構築の準備手順 構成要素と必要な情報

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構築に必要なハード・ソフト・ネットワーク環境

サーバー構築をスムーズに進めるには、事前準備が重要です。特にオンプレミス環境とクラウド環境(例:AWS)では準備内容が異なるため、目的と運用方針に合わせて構成を検討する必要があります。

オンプレミスの場合、物理的なサーバー機器の調達が第一歩となります。
CPU・メモリ・ストレージなどのスペックを業務要件に応じて決定し、さらにUPS(無停電電源装置)や空調設備、専用ラックなどの物理インフラも整える必要があります。また、必要なOS(Linux、Windows Server など)やアプリケーションソフトもこの段階で導入・設定していきます。

一方、AWSのようなクラウド環境でサーバーを構築する場合、物理ハードの準備は不要です。
AWS管理コンソールから、仮想サーバー(EC2インスタンス)を数クリックで起動でき、必要なリソース(CPU数、メモリ容量、ディスクサイズなど)も画面上で簡単に選択可能です。OSや初期設定もテンプレート化されており、数分で環境構築が完了します。

また、ネットワーク構成の設計も忘れてはなりません。
オンプレミスでは、LAN配線、ルーター/スイッチの設置、ファイアウォールの構成といった物理的な工数がかかりますが、AWSではVPC(仮想プライベートクラウド)を設定し、サブネットやルートテーブル、インターネットゲートウェイの構成を行うことで、柔軟かつセキュアなネットワークを構築できます。

ただし、クラウド型であっても「仮想リソースの設計」という観点ではオンプレミスと変わらないほどの事前計画が求められます。無計画な構築は、後からの設定ミスやセキュリティリスクを招きかねません。

セキュリティとスケーラビリティの事前設計

サーバー構築において、ハードやソフトの準備と同様に重要なのがセキュリティとスケーラビリティ(拡張性)の事前設計です。これらを後回しにすると、運用フェーズで深刻な問題につながる可能性があります。

まずセキュリティ面では、オンプレミス・クラウドを問わず、アクセス制御の設計が不可欠です。
特にAWS環境では、IAM(Identity and Access Management)を用いて、ユーザーやグループに細かな権限を設定できます。これにより、業務に必要な最小限のアクセス権を割り当てる「最小権限の原則」が実践可能です。

また、セキュリティグループを使って通信制御を行い、不正アクセスのリスクを低減させることが重要です。
AWSではこれらの設定がGUIから直感的に操作できるため、セキュリティ対策が実装しやすいのも大きな利点です。

一方で、スケーラビリティ(拡張性)の設計も長期運用には欠かせません。例えばアクセスが集中するECサイトや業務システムでは、一時的な負荷増加にも耐えうる柔軟な構成が求められます。
AWSにはオートスケーリング機能があり、CPU使用率などの条件に応じてサーバー台数を自動で増減させることができます。また、Elastic Load Balancing(ELB)を活用すれば、トラフィックを複数のインスタンスに自動で分散でき、サーバー単体にかかる負荷を軽減できます。

こうした機能を事前に設計に組み込むことで、突発的なアクセス増加にも対応可能なインフラを構築できます。オンプレミスでは物理機器の増設で多くの期間が必要な場面でも、クラウドなら数分でスケールアップ・ダウンが可能です。

AWSでのサーバー構築方法 手順と注意点

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AWS EC2の立ち上げと設定ステップ

AWS(Amazon Web Services)を使ってサーバーを構築する場合、最初に取り組むべきサービスが EC2(Elastic Compute Cloud)です。
EC2は、仮想サーバーを簡単に立ち上げ、用途に応じて柔軟に構成できるサービスで、オンプレミスの物理サーバーに相当します。

【EC2インスタンス構築の基本ステップ】

①AWSアカウントにログイン

AWSの管理コンソールにアクセスし、ルートユーザーまたはIAMユーザーとしてログインします。

②EC2インスタンスを作成

コンソール上で「EC2」サービスを選び、「インスタンスを起動」から作成を開始します。以降、以下の順序で設定を行います。

③Amazonマシンイメージ(AMI)の選択

サーバーにインストールするOS(例:Amazon Linux、Ubuntu、Windows Serverなど)を選びます。Amazon Linuxなどが標準的で使いやすいです。

④インスタンスタイプの選定

CPU・メモリなどのスペックを定義します。中小企業であれば「t3.micro」や「t3.small」など、低コストで汎用的なタイプから始め、スペックが不足したら上位のインスタンスタイプに変えていく運用が一般的です。

⑤キーペアの作成/選択

SSH接続に使用する「キーペア」を作成または既存のものを選択します。キーペアは、インスタンスへの安全なアクセスに不可欠です。

⑥ネットワーク設定(VPC、サブネット)

VPC(仮想プライベートクラウド)やサブネットを選び、どのネットワーク空間に配置するかを決めます。標準設定のままでも構築可能ですが、用途に応じて後でカスタマイズが必要です。

⑦ストレージの設定

EBS(Elastic Block Store)と呼ばれるストレージ容量を設定します。足りなければ増量ができるため、初期の割り当ては少ない容量でも問題ありません。

⑧インスタンス起動の確認と実行

設定内容を確認し、「起動」ボタンをクリックすれば、仮想サーバーが作成され、数分で稼働を開始します。

このように、EC2の立ち上げはGUIベースで進められるため、コマンド操作に不慣れな方でも直感的に構築可能です。ただし、初期設定を誤るとセキュリティリスクやアクセス障害につながるため注意が必要です。

セキュリティグループとIAMの基本設定

AWSでサーバーを構築する際、特に重要なのがセキュリティ設定です。インスタンスを起動しても、セキュリティの設定を適切に行わなければ、外部からのアクセスができなかったり、逆に不正アクセスを許すリスクもあります。

セキュリティグループの設定

セキュリティグループは、AWSにおける「仮想ファイアウォール」の役割を果たします。インスタンスごとに適用し、どのポートを、どのIPから開放するかを制御できます。
一般的なWebサーバーの場合、以下の設定が基本になります。

  • ポート80(HTTP) → 全世界から許可(0.0.0.0/0)
  • ポート443(HTTPS) → 全世界から許可
  • ポート22(SSH) → 特定のIPアドレスのみから許可(セキュリティ対策のため)

SSHを「全開放(0.0.0.0/0)」してしまうと、世界中から攻撃を受けるリスクがあるため、必ず特定IPに制限するのが推奨されます。

IAMの設計とアクセス制御

IAM(Identity and Access Management)は、AWSリソースに対するアクセス権限を管理する仕組みです。ルートユーザーを日常的に使うのはセキュリティ上のリスクが高いため、以下の設計が推奨されます。

  • IAMユーザーを作成し、業務ごとに適切な権限(ポリシー)を付与
  • 管理者・閲覧者・開発者などのロール(役割)ごとにIAMグループを編成
  • MFA(多要素認証)の設定で、不正ログインリスクを低減

IAMを適切に設定することで、企業内のメンバーに対して最小限の権限だけを与えることができ、誤操作や情報漏洩のリスクを防ぐことが可能になります。

導入後の運用管理と監視 インフラの安定性を維持

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ログ管理・パフォーマンス監視ツールの導入

サーバー構築が完了したら、それで終わりではありません。安定した運用を実現するためには、定常的な監視と適切な運用管理が不可欠です。特にクラウド環境では、仮想リソースの状態を可視化し、異常が起きる前に対応できる体制を整えることが求められます。

AWSには、サーバーの状態をリアルタイムで監視できる複数のツールが用意されています。代表的なものが以下の2つです。

Amazon CloudWatch

EC2やRDS、EBSなどのAWSリソースに関するメトリクス(CPU使用率・メモリ使用率・ディスクI/Oなど)を自動で収集・可視化できるモニタリングサービスです。アラーム機能を活用すれば、閾値を超えたときに自動で通知を送ることも可能です。

AWS CloudTrail

AWSアカウント内で行われた操作やAPIコールのログを記録・保存する仕組みです。誰が、いつ、どのリソースに対して、どの操作を行ったかを明確にできるため、不正アクセスや人的ミスの追跡にも役立ちます。

加えて、ZabbixやDatadog、New Relicなどの外部監視ツールと連携することで、より細かなチューニングや複雑なアラート設定も実現できます。こうしたログやモニタリング情報は、日々の運用管理の「目」となり、トラブルの早期発見や未然防止に繋がります。

障害対応とバックアップ設計のポイント

どれほど高精度なサーバー構成であっても、障害が完全にゼロになることはありません。だからこそ、いざという時のために「どのように備えておくか」が重要です。

まず、障害発生時の初動対応手順を明確化しておくことが大切です。例えば、システムがダウンした際には「どのログを確認するか」「誰にエスカレーションするか」「バックアップからどのように復旧するか」などを、事前にマニュアル化しておくことで対応の遅延を防げます。

特にAWS環境では、以下のような対策が有効です。

EC2のステータスチェック

AWSが提供する2種類のヘルスチェック(システムステータスチェック/インスタンスステータスチェック)を活用し、異常時には自動で再起動する設定も可能です。

バックアップ設計(Amazon EBSスナップショット)

EC2インスタンスのディスク情報は、EBS(Elastic Block Store)に保存されます。EBSはスナップショット機能を用いて定期的にバックアップを取得可能です。さらに、スナップショットを他のリージョンに複製することで、単一リージョンでの障害発生時に迅速に復旧できる体制が整います。

RDS(データベース)自動バックアップ

AWS RDS を使っている場合は自動バックアップ設定がデフォルトで有効になっており、指定した期間内の任意の時点の状態に復旧できます。(ポイントインタイム復旧)

こうした「事前の備え」を怠ると、トラブル発生時に復旧が遅れ、業務停止やデータ損失などの重大な損害に繋がる可能性もあります。特に中小企業では人的リソースが限られているため、自動化・マニュアル整備・外部支援の活用を並行して進めておくと安心です。

まとめ~サーバーの運用・設計は注意点を押さえながら慎重に!~

サーバー構築は、企業の業務を支えるITインフラの中核をなす重要なプロセスです。これまでのオンプレミス型に加えて、現在ではAWSのようなクラウドサービスを活用することで、より低コストかつスピーディに環境を整えることが可能になっています。

本記事では、以下の流れに沿って、「サーバー構築の始め方」について詳しく解説しました。

  • サーバーの基本的な種類と役割(Web/DB/アプリケーション)
  • オンプレミスとクラウドの違い、選び方のポイント
  • サーバー構築に必要な準備要素(ハード・ソフト・ネットワーク)
  • AWSを用いた構築手順(EC2の立ち上げ、IAM設定)
  • 導入後の運用管理(監視、バックアップ、障害対応)

特に、AWSを使ったサーバー構築は、初期コストを抑えつつスケーラブルなインフラを実現できる手段として、今後も多くの企業で主流となっていくことが予想されます。ただし、利便性が高い反面、セキュリティや運用設計における注意点も多く、自社だけで完全に対応するには負担が大きいケースも少なくありません。

そのため、初めてのクラウド導入やインフラ刷新を検討している企業様には、グローバルネットコアのAWS構築支援サービスAWSマネージドサービス(スタンダードプラン/プレミアムプラン) のような専門家の支援が受けられるサービスを活用することをおすすめします。設計から構築・運用・保守までをワンストップで任せられる体制は、大きな安心材料となるはずです。

最初の一歩として、ぜひ本記事を参考に、自社に最適なサーバー構築のあり方を検討してみてください。

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