AWSでファイルサーバーを構築するには?4つの方法とメリット・デメリットを比較!
2026.02.13(金)
- クラウド
ビジネスにおいてデータの共有・保管を行うファイルサーバー。
従来主流だったオンプレミス型のファイルサーバーには、高額なハードウェアの入れ替えコストや運用負荷の増大などの課題がつきものでした。
オンプレミスにおける課題を解決するひとつの手段として、近年では、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスによるファイルサーバー構築・運用が注目を集めています。
この記事では、世界最大規模を誇るクラウドサービスであるAWSを利用してファイルサーバーを構築する4つの方法を比較し、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
ファイルサーバーをAWSで構築するメリット
ファイルサーバーをオンプレミスからAWSへ移行することは、特に「コスト」「運用負荷」「事業継続性」といった課題を解決するための有効な手段です。
それぞれ、詳しくご説明します。
メリット1:初期投資を抑えてコストを最適化できる
AWSでのファイルサーバー構築では、物理的なハードウェアを自前で購入・設置する必要がありません。このため、ハードウェアの購入サイクルや減価償却を考慮する必要がなくなり、コスト構造を最適化できます。
また、AWSは従量課金制のため、使った容量に応じて料金が発生します。このため、オンプレミス型のファイルサーバーと比べて比較的少額からのスタートが可能です。
メリット2:ハードウェアの運用・保守から解放される
オンプレミス型のファイルサーバーでは、機器の故障対応やOSのパッチ適用、ストレージ容量の管理など、多大な時間とリソースを割く必要があります。
AWSでは、物理的な機器の管理はAWSが対応します。さらに、AWSパートナー企業による運用代行サービスを利用することでインフラ管理のほとんどをアウトソーシングできるため、より重要で戦略的な業務に集中できるようになります。
メリット3:事業拡大に合わせて柔軟に容量の拡張・縮小ができる
AWSでは、ストレージ容量をビジネスの成長やファイル容量の増加に合わせて柔軟かつ迅速に拡張できます。
物理的な制約がなく、必要な時にスケールアップ・スケールダウンが可能です。
メリット4:事業継続性の向上と高いセキュリティ
AWSでは、世界中の複数の地理的リージョン(各地域のデータセンター群)にデータセンターを設置しています。
複数のリージョンを組み合わせたサーバー構成にしておくことで、地震や火災などの災害時でもデータを迅速に復旧させることができ、事業継続計画(BCP)対策として非常に有効です。
加えて、各リージョン内にある複数のアベイラビリティゾーン(物理的に独立したデータセンター)にデータを設置することにより、障害時のデータ損失を最小限に抑えることも可能です。
また、AWSは国際的なセキュリティ基準を満たしており、セキュリティ強化のためのサービスが提供されているのもポイントです。
AWSのストレージサービスの特徴
AWSにはさまざまなストレージサービスが存在しますが、ファイルサーバーとして利用する際は、その特徴と扱うデータの種類を理解した上でサービスを選択することが重要です。
オブジェクトストレージ(大容量データの保管・バックアップに最適)
- 代表的なサービス:Amazon S3
個々のデータ(ファイル)をオブジェクトとして扱い、キー(URLのようなアドレス)で管理します。
容量はほぼ無制限で、耐久性が非常に高いのが特徴です。
主に、Webサイトの静的コンテンツ、データレイク、長期的なバックアップなど、アクセス頻度が低く大容量のデータを低コストで保管するのに適しています。
ファイルストレージ(複数人でのファイル共有に利用)
- 代表的なサービス:Amazon FSx、Amazon EFS
一般的なファイルサーバーと同じく、ディレクトリ階層構造でファイルを管理します。
SMBやNFSといった標準的なプロトコルでアクセス可能で、複数ユーザーでのファイル共有や、アプリケーションサーバーからのアクセスなど、従来のファイルサーバーに近い用途に利用されます。
ブロックストレージ(高速アクセスが求められる高性能データベースなどに利用)
- 代表的なサービス:Amazon EBS
OSやデータベースなどのデータを保存するために、仮想サーバー(EC2)に接続して使用します。
データをブロック単位で管理し、高速な読み書きが可能です。
ファイルサーバー自体をEC2上に構築する際のストレージとして利用されます。
AWSを利用したファイルサーバーの構築方法
AWSでファイルサーバーを構築するには、主に次の4つの方法があります。
- Amazon FSx for Windows File Server で構築する
- Amazon EC2 + EBS で構築する
- Amazon EFS で構築する
- Amazon S3 + AWS Storage Gateway で構築する
ここでは、4つの方法それぞれのメリット・デメリットと、おすすめのケースを比較しながら説明します。
【方法1】Amazon FSx for Windows File Serverで構築する
Amazon FSx for Windows File Serverは、SMBプロトコルに対応した、フルマネージド型の高性能ファイルストレージサービスです。
Windowsの機能(アクセス制御、シャドウコピーなど)を、そのまま利用できます。
メリット
Amazon FSx for Windows File Server は、Windowsファイルサーバーとの互換性が高く、Active Directoryと統合が容易です。
また、フルマネージドサービスのため、OSのパッチ適用やハードウェアの管理が不要な点もメリットです。
デメリット・注意点
AWSマネージドになるため、EC2を自前で立てる構成に比べると、自由度やカスタマイズ性は低くなります。
また、Active Directoryの導入が必須となります。
こんなケースにおすすめ
- 既存のWindowsファイルサーバーからの移行で、ユーザー体験を変えたくない場合。
- Active Directoryとの連携が必須で、高い運用負荷を避けたい場合。
【方法2】Amazon EC2 + Amazon EBSで構築する
Amazon EC2は、AWSでLinuxやWindowsなどの仮想サーバーを構築できるサービスです。
Amazon EBS(Elastic Block Store)は、Amazon EC2インスタンスにアタッチして使用する、スケーラブルなブロックストレージサービスです。
Amazon EC2にAmazon EBSを接続し、OS(Windows ServerまたはLinux)をインストールしてファイルサーバー機能(Sambaなど)を構築する方法です。
メリット
カスタマイズの自由度が最も高いため、特定の要件や複雑な設定に柔軟に対応できます。
また、オンプレミス環境と同じOSを選択すれば、使い慣れたツールをそのままの手順で利用できます。
デメリット・注意点
OSのインストール、パッチ適用、セキュリティ設定、サーバー自体の運用管理(死活監視など)のすべてを自社で行う必要があります。このため、運用負荷が最も高くなります。
また、一つのエンドポイントでは冗長が不可能なため、冗長化を行う場合は複数のAmazon EC2 + Amazon EBSを設置する必要があります。
こんなケースにおすすめ
- 自社のITリソースが豊富で、厳密なカスタマイズが必要な場合。
- 既存のオンプレミス環境と極めて近い構成をクラウド上に再現したい場合。
【方法3】Amazon EFSで構築する
Amazon EFS(Amazon Elastic File System)は、NFSプロトコルに対応した、フルマネージド型のファイルストレージサービスです。
メリット
容量のプロビジョニングが不要で、ファイルの増加に合わせて自動的に容量が拡張されます。
また、複数のEC2インスタンスから同時にアクセスできる共有ファイルシステムとして機能する点もメリットです。
さらに、フルマネージドのため、運用負荷が低くて済みます。
デメリット・注意点
Linuxベースのため、Windowsベースの環境でのファイル共有にはSambaの設定など工夫が必要になる場合があります。
また、書き込み速度がFSx for Windows File Serverに比べると劣るケースがあるため、パフォーマンス要件の確認が必要です。
こんなケースにおすすめ
- Linuxベースのサーバー、特に開発環境やテスト環境でのファイル共有を行う場合。
- データ量やアクセスが変動する、予測不能なワークロードの場合。
【方法4】Amazon S3 + AWS Storage Gatewayで構築する
Amazon S3(Amazon S3 File Gateway)は、オンプレミスのアプリケーションで使用するファイル共有(SMBまたはNFSプロトコル)をAWSクラウドに接続し、Amazon S3をバックエンドストレージとして利用できるソリューションです。
AWS Storage Gatewayは、オンプレミス環境からAWSのストレージサービスへアクセスするために使われるファイルゲートウェイで、AWS上に配置するかオンプレミス環境に配置するかを選ぶことができます。
メリット
Amazon S3は、容量無制限のストレージサービスで、低コストで活用できます。
また、AWS Storage Gatewayのファイルゲートウェイをオンプレミス環境に配置し、データは耐久性が高くコスト効率の良いAmazon S3に保存することにより、クラウドへの段階的な移行を実施することが可能です。
デメリット・注意点
ゲートウェイ(仮想アプライアンス)の導入・管理が必要になります。
また、ネットワークの帯域やレイテンシがパフォーマンスに影響する可能性があります。
こんなケースにおすすめ
- オンプレミスのファイルサーバーを残しつつ、大容量データやバックアップをS3に移したい場合。
- クラウドへの完全移行に踏み切る前に、まずは連携から始めたい場合。
AWSを利用してファイルサーバーを構築した後の管理・運用の注意点
AWSファイルサーバーは導入後も適切に管理することで、その真価を発揮します。次の点に留意して管理・運用を行いましょう。
バックアップと可用性の確保
ほとんどのAWSストレージサービスは、デフォルトで高い耐久性と冗長性を持っています。しかし、誤操作によるファイル削除やランサムウェア攻撃などに備え、世代管理されたバックアップを別途設定することが重要です。
たとえば、AWS Backupなどのサービスを利用すれば、複数のサービスにわたるバックアップを一元管理できます。
バックアップを適切に行い、可用性を確保しましょう。
セキュリティ対策で考慮すべきこと
ファイルサーバーのセキュリティ保持のためには、適切なユーザー認証とアクセス権限の管理が基本となります。AWS Directory ServiceやAWS IAM、Active Directoryを利用し、ユーザーのアクセスを厳密に制御しましょう。
また、データの転送時(クライアントとサーバー間)および保管時(ストレージ内)の両方で暗号化を徹底しましょう。
まとめ~自社の要件にあった方法でAWSファイルサーバーを構築しよう~
AWSでファイルサーバーを構築することで、従来のオンプレミス環境でのファイルサーバーの運用にかかっていた負担から解放され、コストの最適化、運用負荷の軽減、そして事業継続性の強化といった多くのメリットを得ることができます。
既存環境との互換性を保ちつつ、自社に必要なファイルサーバーに適した構築方法を選びましょう。
もし自社だけでの判断や構築・運用が難しい場合は、AWSパートナー企業へ依頼するのがおすすめです。
グローバルネットコアでも、AWSの導入・構築・運用サービスをトータルで提供しています。
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